福島第一事故の対応に最大81兆円

福島第一事故の対応に最大81兆円 シンクタンクが試算
(朝日新聞 3/9(土) 23:52配信)
 東京電力福島第一原発事故の対応費用が総額81兆~35兆円になるとの試算を民間シンクタンク「日本経済研究センター」(東京都千代田区)がまとめた。経済産業省が2016年に公表した試算の約22兆円を大きく上回った。

  81兆円の内訳は、廃炉・汚染水処理で51兆円(経産省試算は8兆円)、賠償で10兆円(同8兆円)、除染で20兆円(同6兆円)。

  経産省試算との大きな違いは、汚染水の浄化処理費用を約40兆円と大きく見積もったことや、除染で発生する土壌などの最終処分費用を算入したことなど。また、この汚染水を、水で薄めたうえで海洋放出する場合は、廃炉・汚染水処理の費用が11兆円になり、総額も41兆円になるとした。

  これに加えて事故で溶け落ちた核燃料(デブリ)を取り出さずにコンクリートで封じ込める、いわゆる「石棺」方式を採用した場合は、廃炉・汚染水の費用が4・3兆円になり、総額も35兆円になるとした。ただ、「石棺」方式は、かつて「復興やふるさとへの帰還をあきらめることにつながる」などと問題になったことがある。
(以下略)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190309-00000074-asahi-soci


「日本経済研究センター」の該当資料はこちらです。

事故処理費用、40年間に35兆~80兆円に
-廃炉見送り(閉じ込め・管理方式)も選択肢に
-汚染水への対策が急務
2019年03月07日発表
https://www.jcer.or.jp/policy-proposals/2019037.html


その資料の数値を、国の「福島事故及びこれに関連する確保すべき資金の全体像と東電と国の役割分担」という資料の表に書き込んでみました。
表の上、赤色が日本経済研究センターの試算、さらに汚染水を希釈して海洋に放出した場合の試算が茶色、廃炉せずにいわゆる石棺方式で処理した場合が紫色の試算です。


イメージ 1


(画像の右下をクリックすると、大きな画像で表示されます。)

石棺方式などの是非はともかく、日本経済研究センターのどの試算でも国の試算を大きく上回っています。
原子力発電、やはりコストが高いですよね?
スポンサーサイト



原発被災地、「要介護」急増

[震災8年]原発被災地 「要介護」急増…11市町村 避難 体調に影響

(読売新聞 2019/03/03 05:00)

 東京電力福島第一原発事故による避難指示が出された福島県の11市町村で、要介護認定を受ける人が急増している。最も増加が顕著な葛尾村は、65歳以上の高齢者に占める要介護者の割合(認定率)が8年前から10ポイント余り増え、全国1位の29・2%となっている。長期化した避難生活の影響で体が弱ったり、同居の家族と離れ離れになったりしたことが背景にある。介護サービスの利用が膨らみ、介護保険の保険料も、6町村が全国の上位10位に入るなど高騰している。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20190303-OYT1T50040/

この後も記事は続いていますし、全国平均の他に、原発事故で避難指示が出た11市町村の変動の資料も記載されていますが、「無断転載禁止」という無粋な表記(当たり前ではありますが)もあるので、ここでは掲載しません。
(関心のある方はリンク先の記事をご確認ください。)


さて、実は「統計から被災地の介護保険を見る」というシリーズを過去に書きました。
(この記事から1~5)
http://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/31894244.html


これらは原発事故関連の自治体ではなく、岩手・宮城・福島の3県と、規模別に3市町をピックアップして比較しました。


先の読売記事では、
介護利用急増について、葛尾村の担当者は「避難先で農作業などができず、体を動かす機会が減った。3世代同居などの一家がバラバラに避難し、独居や老夫婦だけの世帯が増えたことも影響している」とみる。
という記述があります。

私も、「統計から被災地の介護保険を見る5」で、
過去に報道されてきたように、避難所や仮設住宅など避難生活環境の制約により、要介護(支援)度が重度化した人々は、やはり少なくないと思われます。
生活の変化だけでも、高齢者の心身に影響を及ぼします。
特に、これまで役割があった人々(農林水産業、孫などの養育支援、地域活動など)が、活動の場を失ったことは、心身の機能を維持する上で大きなマイナスになったことでしょう。
https://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/31897710.html

と書いています。
まあ、以前から予想されていたことではあるのですが、ならばその対応策として何ができるか、何をすべきであったのか、これから何ができるか、ということについては、私は今も明確に示すことができないでいます。

それにしても、少なくとも金銭的損失(直接被害だけでも介護保険財政の圧迫とか介護保険料の負担増などがあります)については、やはり東京電力が負担すべきではないでしょうか。

コメントが難しい

いろいろコメントが難しいことがあります。

たとえば、お隣の半島の南北首脳会議。

たとえば、国会の空転。
(政府側に問題が多いのは事実ですが、多くの野党の審議拒否という戦術は私の気質には全く合わない。)


さて、こちらも、ある意味コメントが難しい問題です。

<大川小津波訴訟>危機管理指針の見直し必至 専門家「限界がある」

(河北新報 2018年04月27日金曜日)
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201804/20180427_13056.html

 石巻市大川小を巡る訴訟の仙台高裁判決は26日、東日本大震災当日の避難行動が遅れ、多数の児童が犠牲になった背景に危機管理マニュアルの不備があると認定した。マニュアルは緊急時に教職員が取るべき行動を定めた学校防災の指針。事前の備えを教育界に強く求めた画期的判決を受け、全国の教育現場は安全管理の見直しを迫られる一方、専門家は学校と教育委員会のみの対応は限界があると指摘する。
(以下略)

地裁判決では、約45分間、児童が校庭に待機させられていたこと、市の広報車の呼びかけ等を聴いてからでも十分に(実際には選択されなかった)裏山への避難が可能であったこと、等から、市や県の責任が認定されました。
https://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/34976259.html

高裁では、マニュアル等、事前対策に踏み込んだ判断がなされましたが、正直、これは法的責任の追及としては厳しいかな、と思っています。
(もちろん、今となっては不備のあるマニュアルということになるので、道義的、とか、今後のあり方、ということなら理解しやすいのですが。)

もっといえば、賠償責任、ということよりも、なぜ45分間動けなかったのか、裏山が選択できなかったのか、その判断について校長・教頭等がどう関与したのか、というようなことを、今後の災害対策のために明らかにしてほしかったのですが。

鉄道の復旧状況(2018・3月)

2016年10月の記事で、JR常磐線の「相馬-浜吉田」間の運転再開について触れました。

現在はどうなっているでしょうか。

JR東日本のウェブサイトより、「長期間不通となっている区間」の資料を加工してみました。


イメージ 1


常磐線のエリアの詳細。


イメージ 2



上の記事では不通だった「浪江-小高」間が運転されるようになりました。

山田線の方はクリックしても適切な場所には飛びませんでした。
調べてみたら、来年度中の運転再開(及び三陸鉄道への移管)を目指して復旧工事中のようです。
移管すれば、その南北の南リアス線・北リアス線とともに、第三セクター三陸鉄道で運営することになります。

沿岸部では、ほかにBRT(専用路線を走るバスみたいなもの)でつないでいる路線もあります。
(気仙沼線や大船渡線の一部)

それらとは別に、内陸なのに不通になっているのが只見線。
東日本大震災と同じ年の7月26日~30日にかけての「平成23年7月新潟・福島豪雨」による被害です。



イメージ 3

こちらも含めて、少しでも早い復旧を願っています。

震災支援の府職員の死亡、公務認定

府職員の死亡、公務認定=東日本大震災支援―大阪高裁

(時事通信 12/26(火)18:52配信)

 東日本大震災の被災地に派遣中に死亡した大阪府職員の男性=当時(49)=の50代の妻が、地方公務員災害補償基金を相手に、公務外認定の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁(田中俊次裁判長)は26日、請求を棄却した一審大阪地裁判決を取り消し、公務災害と認めた。

 判決によると、男性は2011年5月、岩手県宮古市に派遣され、避難所などを回る乗用車の運転を担当。宿泊先のホテルでくも膜下出血を発症し、6日後に病院で死亡した。

 田中裁判長は、幹線道路以外ではがれきは除去されておらず、余震の危険性を認識しながら業務に当たり、精神的緊張が強かったと指摘。ホテルでもロビーの避難者に配慮が必要で、時間だけで業務を評価すべきではないと述べた。

 その上で、悲惨な現場を目の当たりにして「惨事ストレス」に遭い、負荷の高い業務で発症したと認めた。

 一審は業務が過酷とは言えないとし、高血圧と飲酒歴があることから業務との因果関係を否定した。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171226-00000106-jij-soci


一審の地裁判決文を見ていませんが、この高裁の報道を読む限り、妥当な判決だろうと思います。

2011年3月に東日本大震災が起きて、そのわずか2カ月後の派遣です。
大阪から岩手というのは平常時でもかなりの移動時間が必要ですし、それでなくても被災地に派遣されるというのは(職員にいくらやる気があったとしても)通常よりも強い緊張があったのは間違いないと思います。

なお、(レベルがわからない)「飲酒歴」はともかくとして、
仮に「高血圧」が発症や死亡に影響を与える程度であったとしたら、そんな状態の49歳の職員を被災地に派遣した府の判断に問題がなかったか、ということも気になります。

いずれにせよ、この件で、公務に全く関係ない死亡、というのは、残された奥様ならずとも、納得しづらいところです。

上告なんかするなよ、地方公務員災害補償基金。

プロフィール

どるくす

Author:どるくす
FC2ブログへようこそ!

月別アーカイブ

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR