五輪誘致より大事なもの(下)

前記事の続きです。

昨夜、この報道を知ったときは、とても悲しく思いました。

この時期の東京オリンピック誘致については、我が国でも、さまざまな意見があるとは思います。
ですが、それはあくまで日本国内の問題です。

私は、五輪誘致の是非、あるいはその結果にかかわらず、ずっと以前からの特別な友好国・トルコの人々の信頼を失いたくはありません。
トルコの人々の気持ちを傷つけたくありません。


また、トルコ以外のイスラム圏の人々についても同様です。
日本国内ではあまり知られていないかもしれませんが、中東などイスラム教徒の多い国では、意外に(?)親日的な人々が多いです。
東アジア情勢だけ見ていれば、日本は全世界から嫌われているかのような錯覚を起こすかもしれませんが・・・

イスラムについていえば、テロを起こそうとする人々はごく一部で、その被害にあった人々、身内など大切な人々を失ってテロを憎む人々の方が(当たり前ですが)ずっと多数派です。

世界史的に見れば、ヨーロッパのキリスト教諸国が文明のトップに出たのは、せいぜい数世紀前からのことです。
アッバース朝の都バクダードで発達した化学などの学術は、ヨーロッパなどに大きな影響を与えましたし、
第二次ウィーン包囲の失敗あたりまでは、オスマン帝国の勢威は欧州諸国を圧していました。

文明、文化、国力などというものは、波があります。
また、ある分野で進んでいる国が、他の分野では遅れている場合もあります。

仮にイスラム諸国が、互いに争うことが多いとしても、
(トルコ共和国というのは、そういう色合いが極めて薄い国だと思いますが・・・クルド人問題など火種を抱えていないわけではありません)
だからこそ、そこでの五輪開催が必要だ、という考え方もできると思います。
(古代オリンピックでは開催期間中は戦争が停止されていたという故事があります。)

ついでにいえば、イスタンブールは、五輪誘致上の問題のひとつとして、交通渋滞対策が課題になっています。
そこで、ボスポラス海峡によってヨーロッパとアジアに分かれた市街地を結ぶ海底トンネルの建設が進められているのですが、
これに日本の大成建設が関わっています。

こういうことを考えると、イスタンブールが開催を勝ち取ったとしても、それはそれで喜ばしいことではないか、とも思います。

と書くと、まあ、ご批判もあるかもしれません。

ですが、やはり、五輪の自国開催よりも大事なことはある。

私はそう思います。

都知事の今回の発言は、本当に残念でしたが、ともかく謝罪したのはよかったと思います。

今回の問題に関わらず、日本とトルコの友好が続くことを願ってやみません。
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五輪誘致より大事なもの(上)

猪瀬都知事、イスラム失言を謝罪

(AFP=時事 4月30日(火)15時22分配信)
【AFP=時事】東京都の猪瀬直樹(Naoki Inose)知事は30日、イスラム諸国が共有するのはアラー(神)のみで、「互いにけんかしている」という発言について、謝罪した。

 2020年夏季五輪の開催を目指す東京の猪瀬都知事は米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)とのインタビューで通訳を介し、「イスラム教国が共有するのはアラー(神)だけで、互いにけんかしており、階級がある」と述べた。

 このコメントは、イスラム教国では初となる五輪開催を目指す候補都市のライバル、トルコ・イスタンブールを軽視するものととらえられた。

 その後、猪瀬都知事はフェイスブック(Facebook)上で、「記事の焦点が、あたかも東京が他都市を批判したとされていますが、私の真意が正しく伝わっていない。私には、他の立候補都市を批判する意図はまったく無く、このようなインタビューの文脈と異なる記事が出たことは非常に残念だ」とコメントを投稿した。

 しかしながら30日に入り、猪瀬都知事はテレビカメラを前に謝罪を口にした。

 記者団に対し猪瀬都知事は、「イスラム圏の方に誤解を招く表現があった。不適切な表現があったことは、はっきり今謝罪します。イスラム圏でけんかしているのもあると言いました。不適切な発言と思い、それは訂正したいと思う」と謝罪した。【翻訳編集】 AFPBB News
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130430-00000025-jij_afp-spo


昨日の報道は、こちら。

猪瀬知事「イスラム諸国はけんかばかり」

(4月29日 18時59分 NHK)
アメリカの新聞ニューヨーク・タイムズは、2020年夏のオリンピック招致を巡る東京都の猪瀬知事のインタビュー記事を掲載し、猪瀬知事がほかの立候補都市を引き合いに「イスラム諸国はけんかばかりしている」などと発言したと伝えました。
IOC=国際オリンピック委員会の行動規範は、ほかの立候補都市との比較を禁じており、「すべての候補都市にルールを守るよう強調したい」とする声明を発表しました。

ニューヨーク・タイムズによる猪瀬知事のインタビューは、今月、招致活動のため訪れていたニューヨークで行われ、26日に掲載されました。
この中で、猪瀬知事は「アスリートにとって、いちばんよい開催地はどこか。インフラや洗練された競技施設が完成していない、2つの国と比べてください」とほかの立候補都市に言及しています。そのうえで、「イスラム諸国で人々が共有しているのは唯一、アラーだけで、互いにけんかばかりしている」という内容の発言をしたということです。
IOCはオリンピックの招致活動についての行動規範で、各都市は互いに敬意を払うべきだとして、ほかの都市との比較を固く禁じています。
ニューヨーク・タイムズは「発言で立候補都市の資格を失うことは考えにくいが、IOC側の信頼は揺らぎかねない」と指摘しています。
トルコのクルチ青年スポーツ相は、記事が掲載された翌日、ツイッターでコメントを発表し「発言は公正ではなく、悲しいことだ。オリンピック精神に反している。イスタンブールはほかの立候補都市に対して否定的な声明を出したことはないし、これからも出さない」としています。そのうえで、「われわれは日本の人々を愛しているし、日本人の信仰心や文化を尊重している。そして若者も、高齢者も同じように尊重する」としています。
IOC=国際オリンピック委員会は声明を発表し「記事に掲載された発言の翻訳を見ただけでは知事が本当は何を言おうとしていたのかは定かではない」として、今後、東京都に対して真意を問いただす考えを示唆しました。そのうえで、「IOCとしてはすべての候補都市に対して招致活動に関連したルールを改めて強調したい」として、招致活動に伴う行動規範を順守するよう各都市に対して改めて求めています。
(略)
ニューヨーク・タイムズに26日、掲載された記事によりますと、猪瀬知事へのインタビューは訪米中、ニューヨークで行われました。
インタビュー記事によりますと、猪瀬知事は開催都市について「アスリートにとって、いちばんよい開催地はどこか。インフラや洗練された競技施設が完成していない2つの国と比べてみてください。ときには例えばブラジルのように、初めて開催するのもよいでしょう。しかしイスラム諸国では人々が共有しているのは唯一、アラーだけで、互いにけんかばかりしていて、階級もある」という内容の発言をしたということです。
また、若者の人口の割合が大きいイスタンブールが有利なのではないかという指摘に対して、猪瀬知事は高齢者が健康を維持できるよう、運動できることが日本社会のよさだと説明したうえで、「トルコの人々も長生きしたいでしょう。長生きしたければ、日本のような文化をつくるべきだ。若い人は多いかもしれないが、早く死ぬようではあまり意味がない」という内容の発言をしたと伝えられています。
インタビューは日本語で行われ、同席したニューヨーク・タイムズの日本人記者は「記者による翻訳の偏見を避けるため、通訳の翻訳のことばを採用した」と、個人のツイッターで説明したうえで、「誤訳があったとは認識していない」としています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130429/t10014263411000.html


誤解が生じにくいように、報道のほとんど全部を引用させていただきました(太字強調は引用者が行いました)。
私のコメント等は、次の記事で。

介護サービスの「重点化」で危惧されること

ピラミッドのような建造物でも、富士山のような美しい成層火山でもいいですが、
 
裾野を削っても上が崩れない
 
というようなことはあるのでしょうか?
 
イメージ 1
 
 
要支援など軽度者のサービスを削って重度者に重点化すれば費用が安くて済む
 
という意見には、それと同じような「うさんくささ」「あやうさ」を感じます。

10万円介護ロボット

政府「10万円介護ロボ」普及へ…成長戦略の柱

 政府は、安価な新型の介護ロボット普及に乗り出す。

 要介護者が歩くのを支えたり、高齢者を抱える介護職員の負担を軽くしたりするなど、機能を絞った10万円程度のロボットの開発を促す。さらに、介護保険の対象を広げ、これらのロボットを月数百円でレンタルできるようにする。政府は、普及策を6月にまとめる成長戦略の柱と位置づけ、介護職員不足の緩和や新産業の育成につなげる方針だ。

 政府が普及を促すのは、〈1〉介護する人が高齢者らを抱え上げる時の負担を減らす〈2〉高齢者らが自分で歩くのを支える〈3〉排せつ時の支え〈4〉認知症の人を見守るシステム――の4分野のロボットだ。政府は今年度から、これらのロボットを開発する企業などに開発・研究費の半額~3分の2程度の補助金を出す。補助金総額は今年度だけで約24億円。
(2013年4月28日11時29分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20130427-OYT1T01323.htm


ネット上で見つけたのはこれだけですが、実際の紙面ではもっと記述がありまして、

・介護職員が腰に着けて、少ない力で高齢者などを抱きかかえられる機器
・寝室や居間で排泄物を自動処理するトイレ
・認知症の人の居場所を把握できるセンサー

などを想定、というような内容です。
あと、現在の機器が2千万円級ということなので、それを10万円に下げるのは、容易ではないだろうな、とは思います。

ネット上の反応もいろいろで、
たとえば「介護職員不足の緩和」なら、ロボット開発より介護職員の給与に回せ、
みたいな声も見かけました。

今回は、そういうことには深入りせず、ただ、流れとしては、開発方向に進んでいく分野なのだろうな、とは思っています。

ちなみに、「公益社団法人かながわ福祉サービス振興会 介護ロボット推進課」のサイトでは、

●介護支援型
 移乗・入浴・排泄など介護業務の支援をするロボット。
●自立支援型
 歩行・リハビリ・食事・読書など介護される側の自立支援をするロボット。
●コミュニケーション・セキュリティ型
 癒してくれたり、見守りをしてくれるロボット。

という分類になっています。
http://www.kaigo-robot-kanafuku.jp/category/1438992.html


余談ですが、ロボットのイメージについて。

アシモフのロボット三原則とかは本格的すぎるので置いといて(笑)
アニメやマンガなどで登場するロボットは、こういう感じで分類できるのではないかと。

A:自立思考型:鉄腕アトム、エイトマン(人間の記憶を移した、という設定ですが)など
B:外部操縦型:鉄人28号、ジャイアントロボなど
C:内部(搭乗)操縦型:マジンガーZ、モビルスーツ(機動戦士ガンダム等)など
D:艦船またはシステム全体が人工知能:HAL(2001年宇宙の旅)、アルカディア号(キャプテン・ハーロック。これも人間の記憶を引継ぎ)など

いや、異論はあると思いますが(笑)

で、完全なAは、今のところ実現していません・・・たぶん。

Bについては、さすがに巨大ロボットは無理ですが、リフトなどのリモコン操作、というのは、システム的に似てないこともないような。

Cも、巨大ものは無理ですが(略)
もともと、モビルスーツの概念のきっかけになった「パワードスーツ」(ほぼ等身大)については、かなり現実性を帯びてきたように思います。
介護者の使用だけでなく、「かながわ福祉サービス振興会」の分類でいう「自立支援型」も可能ですね。
筋電流や、脳波読み取り、ということなら、神経難病系の重度障害者にも福音は広がるでしょうか。

Dについては、建物自体に見守り機能を持たせる、という形では、実現可能なのでしょうね。
プライバシーとの兼ね合いをどうするか、という問題はあります(浴室やトイレも建物の一部)。


ところで、たぬさんのこちらの記事に、
http://blogs.yahoo.co.jp/tanu_wb/63868808.html

介護ロボットの輸出を示唆といえないこともないコメントをしたことがあるので、せっかくなのでトラックバックしておきます。

もちろん、「ハード」(機器)の輸出には、「ソフト」(プログラムや操作技術だけでなく、その国の文化や人生についての思想などの理解も)が必要ではあると思いますが。

社会保障制度改革国民会議に意見を送りました

こちらの記事で書いた「社会保障制度改革国民会議の審議のための意見募集」に意見を送りました。
http://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/32031318.html

1.介護サービスの範囲の適正化等による介護サービスの効率化及び重点化について<*1>
 効率化は図るべきであるが、重点化の名の下に軽度者を介護サービスの対象から外すと、かえって社会的費用が増大する可能性が高い。軽度者は支給限度額も実利用額も低く、軽度の間に必要な給付を行うことで、重度化が防止される。介護給付費実態調査月報(平成24年4月審査分)<*2>で見ると、要支援のサービス受給者は人数で21%を占めるが、費用では5%余に過ぎない(要介護1以下では、受給者数で39%、費用では18%)。軽度者を切り捨ててもたいした節約にならず、むしろ介護予防通所リハビリテーション等<*3>、心身の維持改善を図るサービスが利用できなくなることによる重度者の増加が費用の増大をもたらす。介護予防訪問介護にしても、独居者や老々介護世帯を中心に、在宅生活を支える重要なサービスである。ちなみに、わずか週数時間程度の家事的サービス利用<*4>で廃用症候群が進むなどという一部の学者等の主張は現実的ではない。在宅生活が困難な要介護者が増えれば、介護給付費も施設建設費も増え、結局は国民の負担が重くなる。
 効率化の観点からは、要支援者と要介護者とでケアマネジメントの担い手が異なる現在の制度を改め、要介護(支援)度にかかわらず首尾一貫して居宅介護支援事業所がサービス計画を担当する制度に戻すべきである。その時点の利用者の状態に応じた自立支援を継続的に行うことができ、また、要介護と要支援を行き来するたびに初回加算を算定(給付)するという不要な出費も避けられる。

2.介護サービスの利用者負担のあり方について
 1により軽度者の介護サービス利用は過度に抑制すべきでないから、軽度者の利用者負担割合のみを引き上げることは得策ではない。高所得者の負担割合の引き上げは検討対象となり得るが、施設入所者の補足給付等については、所得だけでなく資産に着目することも検討する必要がある。相当期間以上の施設入所者については、次世代への相続時に相続財産から優先して費用徴収する仕組みを導入してはいかがか。なお、入所者死亡時に、配偶者や、重度障害を持つ子がいる場合には、その生活の継続に配慮する必要がある。


下手な注釈
*1:社会保障制度改革推進法第7条(以下の条文)に対応しています。
 政府は、介護保険の保険給付の対象となる保健医療サービス及び福祉サービス(以下「介護サービス」という。)の範囲の適正化等による介護サービスの効率化及び重点化を図るとともに、低所得者をはじめとする国民の保険料に係る負担の増大を抑制しつつ必要な介護サービスを確保するものとする。

*2:データはこちらの記事に(償還払いを除く)。
http://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/31862607.html

抜粋して縦横を入れ替えるとこんな感じです。

 要支援要介護1以下全体
サービス受給者数(千人)928.51,722.94,386.6
その全体に対する割合(%)21.239.3100.0
サービス費用額(百万円)37,110122,068688,899
その全体に対する割合(%)5.417.7100.0

*3:介護予防通所介護や福祉用具・住宅改修関係など、他のサービスも重要ですが、リハビリ効果がイメージしやすいサービスを例示しています。

*4:こちらの記事で推計したように、要介護1で月8.6時間、週のうち2時間余りだけの生活援助が廃用症候群を作るというのは、無理があります。
http://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/31868253.html


今回は、軽度者の切り捨てが費用の面から得策ではないという観点を主にしましたが、他の切り口も当然、考えられます。

たとえば、軽度者に対するサービスを削ると、介護休暇や介護離職の増加など、子どもたちの世代の就労の阻害要因となり、我が国の経済活動に悪影響を及ぼす、とか。

もちろん、高齢者の生活の質の低下など、現場の実状から危惧されることを主張するのもありでしょう。

要支援者の通院介助

ちょっと検索していたら、こんな書き込みがヒットしました。



(地域包括支援センターから「要支援レベルでは透析の行き帰りにヘルパーは利用できない」と言われた、という書き込みに対して)


めじなシライさんが書かれているように、要支援で利用できないのは「通院等乗降介助」で、
「通院介助」は絶対に利用できないというものではありません。

付け加えるとすれば、透析が必要ということは、身障手帳は通常取得されているはずで、障害者自立支援法のサービスも利用できるはずです。
もちろん、介護保険を優先する規定はありますが、<そのまともな知識がないらしい包括センター職員によると「要支援レベルでは透析の行き帰りにヘルパーは利用できない」とのことですから、>その自治体は自立支援給付(または移動支援)の支給決定を、行わなければならないということになります。


(透析だけで、障害程度区分は一次判定で「区分2」にはなるはずです。)


 
実は私自身の(忘れていた)書き込みだったりするのですが(笑)
 
念のため。<赤色文字>内は、もちろん皮肉です。
要支援者は、通院等乗降介助ではない通院介助について、介護予防訪問介護計画に位置づけて利用することは可能です。


指定介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について
(平成18年3月17日付け老計発0317001号・老振発0317001号・老老発0317001号)
 

(1)介護予防訪問介護の意義について
 注1の「介護予防訪問介護」については、「身体介護中心型」及び「生活援助中心型」の区分を一本化することとする。ただし、介護予防訪問介護においては、通院等のための乗車又は降車の介助が中心である場合の単位数(以下この号において「通院等乗降介助」という。)は算定しないこととし、
通院等乗降介助以外のサービスの範囲については、訪問介護と同じ取扱いとする。



だから、公共交通機関(一般タクシー含む)などを利用した通院介助は、当然、利用可能です。


採算性の問題を言う事業者もあるようですが、
採算性の低いサービスだからという理由でサービス提供を拒否することは、明確に運営基準違反です。
私は現在の報酬体系に問題がないとは全く思っていませんが、
その点については国に意見を送ったり、審議会のアホ委員などを批判するべきであって、
利用者にしわ寄せするのは筋違いです。

なお、たとえば、
「家の中のことは、できる限り自分でしようと思うが、通院などの外出だけ支援してほしい」
という利用者があったとします。

仮に週1回、3時間程度の外出介助(通院など)が必要として、4週で12時間。

一方、週3回、1時間ずつ居宅内での予防訪問介護利用者だと、やはり4週で12時間です。

適切に(二次)アセスメントを行えば、通院介助でも、特別に採算性が悪いとは限らないのではないでしょうか。

現実に、要支援者の外出介助(通院介助)を提供している事業所も(けっこう)あります。
 

あと、本当に蛇足ですが、過去記事から抜き書きしておきます。
(法令根拠などは、それぞれリンク先の記事に書いてある・・・場合もあります。)

・・・法令上は、
「同居家族による支えや、地域の支え合い・支援サービスや他の福祉施策などのサービスが利用できない状況でないと予防訪問介護は利用できない」という規定はない
http://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/22161057.html

「要支援2で通院等乗降介助が利用できない」というのは、やはりおかしい
つまり、「要介護1相当」という同じレベルの介護の手間なのに、認知症があれば通院等乗降介助が利用でき、認知症がなければ利用できない。
居宅内の家事(生活援助)なら、まだ(コジツケにしても)理由があります。
時間がかかっても、自分でできる家事は自分でやった方がよい、というような。
でも、乗車や降車に見守りが必要という状態なら、予防給付制度の理解の程度(認知症の有無)は関係ないのでは?
http://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/25604293.html

佐用豪雨の避難勧告訴訟

豪雨避難勧告巡り、遺族側が敗訴…神戸地裁支部

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130424-OYT1T00741.htm?from=ylist
 2009年8月の兵庫県佐用町の豪雨災害で、死亡した住民5人の遺族9人が、避難勧告の発令遅れが原因だったとして、町に総額約3億2100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が24日、神戸地裁姫路支部であり、田中敦裁判長は、遺族側の請求を棄却した。

 原告は、同町本郷の町営住宅で暮らしていた小林佐登美さん(当時40歳)と長女彩乃さん(同16歳)、次男文太君(同9歳、行方不明後、11年3月に死亡手続き)の遺族4人と、井土(いど)さゆりさん(同47歳)と長女未晴さん(同15歳)の遺族5人。

 訴状などによると、09年8月9日午後7時58分、台風9号の豪雨で町の中心部を流れる佐用川の水位が、町の地域防災計画で「避難勧告の発令を判断する指標」と定められた3メートルを超過。しかし、庵●(あんざこ)典章町長は勧告を発令せず、同9時20分に町内全域に発令。小林さんら5人は、近くの小学校に歩いて避難中、濁流にのまれた。(●はシンニョウに「谷」)

 訴訟で、原告側は「7時58分以降も激しい降雨が続いたのだから、町は速やかに勧告を発令すべきだった」「勧告が発令された9時20分には道路が冠水し、無事に避難することは不可能だった」などと主張。

 町側は「勧告発令については行政に広範な裁量が与えられており、避難行動の選択は住民の判断に委ねられている」としたうえで、「3メートルの水位を超えたことは、勧告発令を判断する指標の一つに過ぎない」「5人は発令前に避難を開始していたとみられ、勧告と被災の因果関係はない」などと反論していた。
(2013年4月24日13時40分 読売新聞)

重要な問題を含んでいるので、全文引用させていただきました。
(太字強調は引用者が行いました。)

避難勧告、あるいは避難指示を出すタイミングというのは難しい判断ですし、
判決文の詳細も、原告が控訴するかどうかも、まだわかりません。

が、損害賠償請求が認められないにしても、
町側の対応が(あの時点の知見で)最善だったか、というと、私はそうでないと思います。


あの豪雨災害の前に、
「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドライン」
(平成17年3月・集中豪雨時等における情報伝達及び高齢者等の避難支援に関する検討会)
http://www.bousai.go.jp/kaigirep/chuobou/12/pdf/siryo3_2.pdf
というものが、すでに世に出ています。

以下、抜粋です。

近年の特徴として、高齢者等の要援護者の被災の多いことが問題となっているとともに、避難途中に被災している人が多いのも事実である。

自然現象のため不測の事態等も想定されることから、避難行動は、計画された避難場所等に避難することが必ずしも適切ではなく、事態の切迫した状況等に応じて自宅や隣接建物の2階等に避難することもある。

浸水が既に始まっている場合において、住民が留意すべき事項は次のとおりである。
・浸水深が50cmを上回る(膝上まで浸水が来ている)場所での避難行動は危険であること。流速が早い場合は、20cm程度でも歩行不可能であること。
・用水路等への転落のおそれのある場所では、道路上10cm程度でも危険であること。
・浸水により避難所までの歩行等が危険な状態になった場合には、生命を守る最低限の行動として、自宅や隣接建物の2階等へ緊急的に避難するなどの行動をとること。

こういうことを頭の片隅に、自治体の防災マニュアルの片隅にでも置いておけば、
あるいは「夜間の避難が危険な場合には2階以上に避難を」という呼びかけができたかもしれません。

ともかく、

自分たちの命は自分たちで守る

自治体の勧告等は参考にしても、最終的には自分たちで最善と考える行動を取る

そのための判断材料を自治体は提供する

ということではないかと思います。

東日本大震災でも、想定にとらわれずに遠く高く逃げて助かった子どもたちがいましたね。

意見募集の補足

(前記事の続きです)

【本件に関する連絡先】
社会保障制度改革国民会議事務局(担当:佐藤、徳重、古賀)
電話番号:03-5253-2111(代表)

(参考)社会保障制度改革推進法(平成二十四年法律第六十四号)(抄)

第一章 総則
第一条(略)

(基本的な考え方)
第二条 社会保障制度改革は、次に掲げる事項を基本として行われるものとする。
 一 自助、共助及び公助が最も適切に組み合わされるよう留意しつつ、国民が自立した生活を営むことができるよう、家族相互及び国民相互の助け合いの仕組みを通じてその実現を支援していくこと。
 二 社会保障の機能の充実と給付の重点化及び制度の運営の効率化とを同時に行い、税金や社会保険料を納付する者の立場に立って、負担の増大を抑制しつつ、持続可能な制度を実現すること。
 三 年金、医療及び介護においては、社会保険制度を基本とし、国及び地方公共団体の負担は、社会保険料に係る国民の負担の適正化に充てることを基本とすること。
 四 国民が広く受益する社会保障に係る費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点等から、社会保障給付に要する費用に係る国及び地方公共団体の負担の主要な財源には、消費税及び地方消費税の収入を充てるものとすること。

第三条(略)
第四条(略)

第二章 社会保障制度改革の基本方針

(公的年金制度)
第五条 政府は、公的年金制度については、次に掲げる措置その他必要な改革を行うものとする。
 一 今後の公的年金制度については、財政の現況及び見通し等を踏まえ、第九条に規定する社会保障制度改革国民会議において検討し、結論を得ること。
 二 年金記録の管理の不備に起因した様々な問題への対処及び社会保障番号制度の早期導入を行うこと。

(医療保険制度)
第六条 政府は、高齢化の進展、高度な医療の普及等による医療費の増大が見込まれる中で、健康保険法(大正十一年法律第七十号)、国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)その他の法律に基づく医療保険制度(以下単に「医療保険制度」という。)に原則として全ての国民が加入する仕組みを維持するとともに、次に掲げる措置その他必要な改革を行うものとする。
 一 健康の維持増進、疾病の予防及び早期発見等を積極的に促進するとともに、医療従事者、医療施設等の確保及び有効活用等を図ることにより、国民負担の増大を抑制しつつ必要な医療を確保すること。
 二 医療保険制度については、財政基盤の安定化、保険料に係る国民の負担に関する公平の確保、保険給付の対象となる療養の範囲の適正化等を図ること。
 三 医療の在り方については、個人の尊厳が重んぜられ、患者の意思がより尊重されるよう必要な見直しを行い、特に人生の最終段階を穏やかに過ごすことができる環境を整備すること。
 四 今後の高齢者医療制度については、状況等を踏まえ、必要に応じて、第九条に規定する社会保障制度改革国民会議において検討し、結論を得ること。

(介護保険制度)
第七条 政府は、介護保険の保険給付の対象となる保健医療サービス及び福祉サービス(以下「介護サービス」という。)の範囲の適正化等による介護サービスの効率化及び重点化を図るとともに、低所得者をはじめとする国民の保険料に係る負担の増大を抑制しつつ必要な介護サービスを確保するものとする。

(少子化対策)
第八条 政府は、急速な少子高齢化の進展の下で、社会保障制度を持続させていくためには、社会保障制度の基盤を維持するための少子化対策を総合的かつ着実に実施していく必要があることに鑑み、単に子ども及び子どもの保護者に対する支援にとどまらず、就労、結婚、出産、育児等の各段階に応じた支援を幅広く行い、子育てに伴う喜びを実感できる社会を実現するため、待機児童(保育所における保育を行うことの申込みを行った保護者の当該申込みに係る児童であって保育所における保育が行われていないものをいう。)に関する問題を解消するための即効性のある施策等の推進に向けて、必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講ずるものとする。

(以下略)


 
文字強調は引用者が行いました。
 
私自身は、特に赤色の箇所(軽度者外しの関連)についての意見を送るつもりです。
 
(この意見募集は「パブリックコメント」という名称ではありませんが、内容を勘案してパブコメ書庫に位置づけています。)

意見募集・社会保障制度改革国民会議

社会保障制度改革国民会議の審議のための意見募集
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokuminkaigi/iken.html

 社会保障制度改革国民会議においては、現在、社会保障制度改革推進法(平成24年法律第64号)に基づき、社会保障制度改革を行うために必要な事項を審議しています。
 つきましては、同会議の審議の参考とするため、社会保障制度改革推進法第2条(基本的な考え方)及び第5条から第8条(改革の基本方針)を踏まえた社会保障制度改革について、御意見を募集いたします。御意見は、下記の要領にて御提出いただきますようお願い申し上げます。


1.意見募集期間
 平成25年4月11日(木)~5月15日(水)

2.意見募集テーマ
 社会保障制度改革推進法(平成24年法律第64号)第2条(基本的な考え方)及び第5条から第8条(改革の基本方針)(※)を踏まえた社会保障制度改革について

※社会保障制度改革推進法第2条及び第5条から第8条の条文は下記「(参考)」をご覧ください。

3.意見提出方法
 御意見は、郵送又はファックスにより、4.の意見提出様式に従い、日本語で御記入の上、御提出下さい。なお、別途、電子媒体の提出をお願いすることがありますので、予め御承知おき願います。
 また、インターネット上のフォームに入力して送信していただくことも可能です。

(1)郵送
 ○送付先:〒100-8970 東京都千代田区霞が関3-1-1 中央合同庁舎第4号館
       社会保障制度改革国民会議事務局 意見募集担当 あて
 ○意見提出締切:【平成25年5月15日(水)必着】
 ※御意見と合わせて、法人・団体名、氏名、連絡先等を記入した様式1又は様式2も必ずご送付いただきますようお願いいたします。

(2)ファックス
 ○ファックス番号:03-3581-1321
 ○意見提出締切:【平成25年5月15日(水)17:00】
 ※御意見と合わせて、法人・団体名、氏名、連絡先等を記入した様式1又は様式2も必ずご送付いただきますようお願いいたします。

(3)インターネット上の入力フォームからの送信
 御意見等を、法人・団体の場合はこちら、個人の場合はこちらに入力して送信してください。
(個人の場合のフォーム)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokuminkaigi/goikenbosyu_kojin.html
 ○意見提出締切:【平成25年5月15日(水)17:00】

4.意見提出様式
(1)法人・団体の場合
 法人・団体名、連絡先等を所定の様式(法人・団体用は様式1)に記入の上、意見書(様式自由)とともにお送りください。
 ・意見書には、団体名を冒頭に記載してください。
 ・意見書が5枚以上になる場合は、1枚にまとめた要旨も合わせてお送りください。要旨にも、団体名を冒頭に記載してください。
 ・用紙の大きさは日本工業規格A列4番としてください。

(2)個人の場合
 氏名、連絡先、御意見などを所定の様式(個人用は様式2)に記入の上、お送りください。
 ・御意見の部分は、お住まいの都道府県などの記入欄と合わせて1枚としてください。
 ・御意見の部分は、様式と異なっていても結構ですが、異なる様式とする場合は、様式2の2枚目の記入事項(お住まいの都道府県、年齢(20歳未満、20歳~29歳、30歳~39歳、40歳~49歳、50歳~59歳、60歳~69歳、70歳~79歳、80歳~89歳、90歳以上のいずれか1つ)、性別、職業)を冒頭に記載し、1枚としていただきますようお願いいたします。
用紙の大きさは日本工業規格A列4番としてください。

5.留意事項
(1)上記の意見募集テーマに沿わないもの、上記の意見提出締切までに到着しなかったもの、上記の意見提出方法・意見提出様式に沿わない形(所定の様式(1枚目)と異なる、記載をお願いしている事項について記載がない、枚数が超過している、など)で提出されたものは、この意見募集への御提出との取扱いはいたしかねますので、予め御了承願います。
(2)文字の大きさは、例えば、Wordファイル・一太郎ファイルで作成する場合は10ポイント以上とするなど、読みやすい大きさでお願いいたします。
(3)法人・団体名での御意見は、組織内での必要な手続を経た上で、御提出下さい。
 (法人・団体としての意見であることを確認させて頂くことがあります。)
(4)いただいた御意見等の取扱いについては、以下の点を予め御了承願います。
  ア)御意見に対する個別の回答はいたしかねます。
  イ)来庁・電話での御意見の表明等には応じられません。
  ウ)いただいた御意見等については、氏名、電話番号、ファックス番号、電子メールアドレスを除き、公表する可能性がありますので、あらかじめ御了承下さい。
   また、その場合、御意見は概要又は集約した形で公表させていただくことがあります。
   さらに、公表する場合において、御意見中に、個人に関する情報であって特定の個人を識別しうる記述があるとき、及び個人・法人等の財産権等を害するおそれがあると判断される記述があるときには、当該箇所を伏せさせていただきます。
  エ)御意見に附記された氏名、連絡先につきましては、御意見の内容に不明な点があった場合等の連絡・確認といった、本意見募集に関する業務にのみ利用させていただきます。

(つづく)

プロ棋士と将棋ソフト

三浦八段も将棋ソフトに敗れる…将棋界に衝撃
読売新聞 4月20日(土)18時23分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130420-00000794-yom-soci

コンピューター将棋ソフトとプロ棋士による5対5の対抗戦「第2回将棋電王戦」第5局が20日、東京都渋谷区の将棋会館で行われ、ソフトの「GPS将棋」が三浦弘行八段(39)に102手までで勝利。

 これで通算3勝1敗1分け(持将棋(じしょうぎ))と、コンピューター側が勝ち越しを決めた。ソフトがプロ並みの実力を持つことは今シリーズで実証されてきたが、トップ棋士の一人である三浦八段が完敗したことで、将棋界には衝撃が走った。

 三浦八段は竜王戦では最上位の1組、名人戦の挑戦者を決める順位戦でもA級に在籍するトップ棋士の一人。GPS将棋は、東大の研究者ら有志が開発したソフトで、昨年の世界コンピュータ将棋選手権で優勝した。中終盤での強さに加え、今回は東大・駒場キャンパスの約680台のパソコンと接続し、1秒間に約2億7000万局面を読むことができる性能を持つことで、苦手とされる序盤から終盤までスキがなくなった。

 対局は第4局に続き、正攻法の相矢倉の戦型となった。三浦八段は、ソフト側の対策が遅れているとされる、敵陣3段目以内に玉を進める「入玉(にゅうぎょく)」策を狙いながら指し進めたが、GPS将棋は自然な指し手を続けて優勢を築くと、最後は大差で押し切った。
最終更新:4月20日(土)23時58分


 
このニュースについては、いろいろな見方ができると思うので、念のため、全文引用させてください。
 
つまり、気になるのは、赤色で強調した箇所です。
 
テレビニュースなどで見たときには、対局上のパソコンしか映っていなかったと思いますが、
700台近いパソコンが連合して対局していた、ということですね。
 
人間同士の普通の対局なら、第三者と相談する(助言を得る)ことは反則行為です。
 
今回は、それを認めた上での対局ですし、
単体でパソコン(約)681台以上の演算性能を持つコンピュータを持ってくれば同じだろうと思うので、
全く意味がないとうわけではないでしょう。
 
ただ、あの報道映像からすると、
パソコン1台(+操作する人)を相手にトップ棋士が負けた、
というように見る人も少なくないだろうな、と。
 
まあ、それで人目を引くのが、現代社会で対局するマスメディアの一手かもしれませんが(笑)

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