まど・みちお さん

まど・みちおさん死去=詩人、童謡「ぞうさん」「やぎさんゆうびん」―104歳

(時事通信 2月28日(金)11時26分配信)

 子供向けの優れた詩を多く残し、「ぞうさん」などの童謡で知られる詩人、まど・みちお(本名石田道雄=いしだ・みちお)さんが28日午前、東京都内の病院で老衰のため死去した。104歳だった。山口県出身。
 戦前、小学生の時に台湾へ渡り、台北工業学校を卒業。台湾総督府に勤務する傍ら、雑誌「コドモノクニ」などに詩や童謡を投稿。北原白秋に認められ、本格的に児童文学の世界へ進んだ。工場勤務などを経験しながら詩作を続け、1951年作の「ぞうさん」が團伊玖磨氏の作曲で全国に広まった。他に「やぎさんゆうびん」「一年生になったら」など今も親しまれている童謡の歌詞を多く書いた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140228-00000064-jij-soci


ほかにも、いろんな作品がありますが、もうひとつ、
「ふしぎなポケット」(ポケットをたたけばビスケットがひとつ・・・)は挙げておきたいと思います。


「ぞうさん」「やぎさん」…愛される童謡、数々

(読売新聞 2月28日(金)17時33分配信)

 28日に104歳で亡くなった詩人のまど・みちおさんは、2000編以上の詩を残し、100歳の誕生日を前に書き下ろし詩集を2冊出すなど、生涯現役の詩人だった。

 自身の老いや病気をユーモラスにつづる作品は、高齢社会に生きる人々に勇気を与えたと言える。

 〈よがあけた/カオあらうんに/ハブラシ/どこ?/またまたか/ナイもんさがし……〉(「わしがいない」より)

 2009年、100歳詩集として刊行された「のぼりくだりの…」(理論社)では、自身の物忘れをリアルにつづり、老いの境地を表現した。

 詩の2連目を書く際、1連目を忘れてしまうこともあり、この詩集では自身がアルツハイマー病であることも明かしている。100歳を前にしたインタビューでは「詩の中に逃げることで、私を生かしてきた。ダメな人間だという劣等感を大事に持ち続けてきた」と謙虚に詩作を振り返り、「同じことは書きたくない」と自らを戒めていた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140228-00000881-yom-soci


100歳でも、そしてアルツハイマー病でも、世の人々に勇気を与えることができるのですね。

数々の童謡、そして104歳という長寿。

「ご冥福を・・・」というより、
「ありがとうございました」という言葉の方が似つかわしい感じがします。
スポンサーサイト



国の資料に落書き

介護保険最新情報vol.355より
 
「予防給付から訪問介護と通所介護を外すことによって費用節減効果がある」
と厚労省は主張していて、今回の資料にもありますが・・・・・・
 
ちょっと落書きしてみました。
 


イメージ 1

 
「この国の資料はウソです」と言い切っているのは、私の主観ではあります(笑)
 
ただ、前記事の社説のほか、社会福祉審議会介護保険部会の勝田委員など、少なくない人々が指摘していることでもあります。
(たとえば、こちら)
 
私の書き込みもイメージであって、実際には、費用が上回るのは、もう少し後になる可能性もあるでしょう。
ただし、仮に(予防訪問介護などを切り離さないままに比べて)費用がトントンだったとしても、
サービスが使いにくくなったり低下したりするだけ、社会的には損ということになります。
 
 
もうひとつ。
あまり注目されていないようですが、居宅介護支援事業の指定権限が都道府県から市町村に移行される案について。

イメージ 2

 
私は、以前から問題点を指摘しています。
 
1)市町村の境界を超えた利用者の利便性を損なうのではないか。
2)訪問介護など都道府県が指定権を有している居宅サービスと併設している居宅介護支援事業所が多く、事業所側、指定権者側、双方の事務処理が不便ではないか。
3)現行制度でも市町村が居宅介護支援事業所の指導や監査を行う権限を有している。十分ではないか。

それらに加えるとすれば、保険者である市町村の方が、都道府県よりも変なローカルルールを押しつけることが多いのではないか、ということです。
市町村の方が規模が小さく、かつ、減算や加算の有無などが財政に直結しますから。
 
もちろん、変な都道府県もないとはいえませんが、
居宅介護支援事業所に複数の目が注がれる可能性があるということは、
保険者が不当なことを言い出したときに
(権限のある)都道府県が関与することによって救われる場合もあるのではないかと思います。
 
本当は、政令市や中核市レベルでも変なルールを思いつく場合があるので、
すべて都道府県と市町村の二重構造という以前の制度の方が望ましいとすら思うのですが。

琉球新報の社説より

介護保険「改革」 生存を保障できる社会に

(琉球新報 2014年2月20日)

 64歳以下の介護保険料が2014年度に月額5千円を突破する見込みという。社会保障の将来に不安が湧くが、ここは原点に戻って望ましい在り方を考えたい。
 社会保障とは、国民が「健康で文化的な最低限度の生活」(憲法25条)を送れるよう、政府や社会が行う経済的保障のことだ。つまり、ナショナル・ミニマム(最低限の生活)を保障できなければ社会保障とは呼べないのだ。政府は社会保障給付水準切り下げでナショナル・ミニマム達成を放棄してはならない。
 政府は今国会に地域医療・介護総合確保推進法案を提出している。法案が成立すると、比較的軽度な「要支援」は介護保険から切り離され、給付の対象外となる。
 この時期に介護保険料増加の情報を政府が流すのは偶然ではあるまい。保険料高騰を避けたいなら、介護保険が給付するサービスの切り下げを甘受せよ、と国民に迫るのが政府の狙いだろう。
 だが要支援者への支援を切り捨てれば、それらの人々の状態は悪化し、より重い「要介護」の人が増えてしまう、と専門家は指摘する。要介護者が増えると介護保険財政はかえって悪化する。財政の観点からも要支援切り捨ては得策と思えないのだ。
 確かに、11年の介護保険法改正で「介護予防・日常生活支援総合事業」(総合事業)が創設され、市町村が要支援者へのサービスを提供できることになった。そこで補完できるから介護保険から切り離してもいい、というのが政府の理屈だ。だが総合事業を導入した市町村は一部にすぎない。その上、サービスの担い手と想定するのはボランティアやNPOである。財源も給付費見込み額の3%が上限に据える。必要な介護を受けられない要支援者が続出するのは間違いない。
 現場では今ですら、要介護だった人を要支援に認定替えする例が増えていると聞く。改革案が実行されれば、軽度と認定されて行き場を失う「介護難民」が増えかねない。生活保護水準も既に切り下げられた。介護心中・自殺すら懸念されるのだ。
 そもそも消費増税は社会保障の充実がお題目だった。だが社会保障改革の実態はむしろ給付水準切り下げだ。政府支出の増大は公共事業に振り向けられている。向かうべき方向性が逆だ。今こそ、国民の生存を保障できる方策について、議論を深めたい。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-219852-storytopic-11.html


琉球新報の社説です。
(真ん中へんの枠囲みは、引用者が行いました。)

同紙の他の社説については、賛同できるもの、疑問に思うもの、いろいろありますが、
今回の介護保険の問題、特に

「要支援者への支援を切り捨てれば・・・介護保険財政はかえって悪化する。財政の観点からも要支援切り捨ては得策と思えない」

という部分については、全く同感です。

飯館の人々のおにぎりが救う

雪の国道へ命のおにぎり-飯舘村の恩返し

http://bylines.news.yahoo.co.jp/takahashikoichiro/20140220-00032833

 東日本で記録的な大雪となった先週末、福島市郊外の国道4号でも立ち往生したトラックや乗用車が行き場を失い、ドライバーは食べるものもなく途方に暮れていました。そこへ炊きたてのおにぎりを差し入れに来たのは、沿道の仮設住宅に暮らす福島県飯舘村民でした。持病のため運転席で意識を失いかけていた人が、温かいおにぎりで命拾いしたそうです。東京電力福島第1原発事故に伴う避難が3年近く続く村民たちは「これまで国内外からさまざまな支援を受けてきた、ほんの恩返し」と謙虚に振り返っています。

 福島県三春町のトラック運転手増子徳隆さん(51歳)は土曜日の15日午前、福島市への配送を終え、郡山市の会社に戻る途中でした。激しく降り続く雪で国道は大渋滞。福島市松川町付近で車列は全く動かなくなってしまいました。
 ペットボトルの水とお茶だけで一昼夜をしのいだ増子さんですが、翌16日、持病の糖尿の影響で低血糖状態に陥り、意識が遠のきました。ふと気付くと、車の窓をノックする音がしました。「おにぎり食べて」と差し出されました。

 誰だろうと不思議に思い、言葉を交わすと、国道を見下ろす高台にある飯舘村の仮設住宅の人たちでした。前日から同じ車がずらりと止まり続けていることに女性たちが気付き、自治会長に炊き出しを提案したそうです。富山県高岡市のお寺から支援物資として仮設に届いていたコシヒカリが1斗5升ありました。急きょ集会所で炊き、20人ほどが自室からのりと梅干しを持ち寄って約300個握りました。

 炊きたてだから冷めないようにと発泡スチロールの箱に入れ、1メートル近い積雪をかき分けて国道沿いを歩き、1台1台車をのぞき込んでは1人1個ずつ渡して回りました。

 おにぎりを口にした増子さんは、おかげで意識もしっかり戻りました。「もったいないから半分にして、時間を置いて食べました。温かくて、おいしくて、一生忘れられない。仮設で厳しい暮らしをしているだろうに、こうして人助けをしてくれるなんて、頭が下がります」と言っています。

 仮設の女性たちは増子さんのこの言葉を聞いて「お腹が減っているだろうからと軽い気持ちだったのに、病気の人が命救われたと感謝してくれているなんて」と、涙を流して感激しました。婦人会長の佐藤美喜子さん(62歳)は「震災からこれまで、私たちは数え切れないほど多くの人に助けられてきました。今回のことで、またあしたから頑張ろうと私たちにも励みになりました」と話してくれました。

2014年2月20日 14時11分、共同通信福島支局長の高橋宏一郎さんの記事です。

共同通信の記事として昨日(19日)夕方に配信、福島民報、福島民友を始めとした本日(20日)の各紙朝刊に多く載せてもらっています。このページをお借りして、さらに全国、全世界の皆さんにお伝えしたいと思います。

とのことなので、このブログで紹介させていただいても苦情は来ないでしょう。

文章は、さらに、飯舘村の村民約6600人のほとんどが村の外で避難生活を続けていること、
放射線量の差で、除染が済めば村に帰れる見込みがある地域と、帰還はまったく難しいという地域があること、
この先どうしていくべきなのか、どうなっていくのか、定まった見通しは誰にもないこと、
等の状況が書かれています。

そして、

 そんなじいちゃん、ばあちゃんたちが、大雪をかき分けて国道のドライバーを助けに回ったのです。まさに、助け、助けられて人は生きています。

ともあります。

私は、富山県高岡市の人たちの思いもつながったんだなあ、と思いました。

寒い雪道の、暖かい話でした。

大雪被害と自衛隊派遣要請

大雪が各地に被害をもたらしています。
自治体などの対応の問題も。

埼玉県 自衛隊の災害派遣要請を断る

(NHK 2月18日 18時31分)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140218/k10015340641000.html

大雪被害、市側の自衛隊派遣要請を拒否した県

(2014年2月18日07時32分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20140217-OYT1T01287.htm?from=popin


その他、日経やらスポーツ紙やらいろいろ出ていますが、今回は読売から、なるべく時系列がわかるように抜粋。

山梨県は最も早い15日午前11時20分に要請しており、群馬、長野両県も同日中に要請した。

秩父市の久喜邦康市長が電話で県側に自衛隊の派遣要請をしたのは15日午後5時20分頃。
それ以降、市危機管理課の担当者らが「病気の人もいるので何とかしてほしい」などと繰り返し依頼したが、県の担当者は「自衛隊と協議したところ、除雪だけを理由に要請するのは難しい」と受け入れなかったという。

防衛省によると、17日午後3時現在、自衛隊に派遣を要請したのは山梨、群馬、長野、静岡、東京、宮城の6都県。
6都県の多くは「人命救助のための除雪」を理由に派遣要請しており、防衛省は「一般論で言えば除雪が人命救助と密接である場合は要請できる」と説明している。

秩父市、横瀬町、皆野町、長瀞町、小鹿野町の5市町は17日午後6時半、自衛隊の派遣を改めて文書で要請した。
県はほぼ同時に自衛隊に派遣要請したが、山梨県より約55時間も遅れたことになる。
同課の担当者は「『助けてほしい』という声は秩父地域から届いていたが、救助に必要な要件を満たしていなかった」と話した。

地域状況は全く同じということではありませんし、難しい問題とは思います。たとえば、静岡県でも、

大雪被害への陸自派遣要請、静岡県も難色示す

(2014年2月19日08時48分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20140218-OYT1T01432.htm?from=popin

・・・静岡県御殿場市が15日午前に陸上自衛隊の災害派遣を要請するよう県に打診したにもかかわらず、県東部危機管理局が「派遣の要件に該当しない」と難色を示していたことがわかった。
(略)
 県東部危機管理局によると、御殿場市から相談を受けた同局の当番職員は、県庁本庁の担当部署と相談した結果、市に「除雪が間に合わないだけでは要請できない」と電話で伝えたという。その後、県は最終的に派遣要請を見送った。同局担当者は「生命、財産を守るという差し迫った緊急性がその時点ではなかった」と説明する。

 一方、小山町については、70世帯78人が一時孤立していたこともあり、県は16日午前10時過ぎ、陸上自衛隊に派遣を要請した。同町の新井昇危機管理監は「町の対応能力を上回る事態を受け、県に派遣要請をお願いした」と話している。

 自衛隊に派遣要請する際、県や市町は「公共性」「緊急性」「非代替性(自衛隊の派遣のほかに取り得る手段がない)」の3要件を満たしているかどうか考慮する。防衛省報道室は「除雪作業についても、人命救助という目的があれば、派遣要請することは可能」としている。実際、今回の大雪では、17日午後11時時点で陸自の派遣を要請した7都県のうち、静岡を含む3都県が「人命救助のための除雪」を要請理由としている。
(略)
 若林洋平市長は「市内は救急車も通るのが難しいほど雪が積もっていた。人命に直結すると考え、県に相談した。今後も同じような認識では困る」と述べた。

この2市町を分けた問題については、詳細な状況がわからない他地域の人間である私がコメントするのは差し控えた方がよいかもしれません。

ただ、この次の記事については、知事の行動(や、周囲の幹部職員)を弁護する気には全くなれません。
(私はもともと首長のパフォーマンス的イベントには批判的なので、その点は割り引いた方が公平かもしれません。)


大雪でも自衛隊拒否の知事、クイズ大会など参加

 大雪の被害が出ている埼玉県秩父市が自衛隊の派遣を要請したのに、県が拒否したため派遣要請が遅れた問題で、県は17日夕になって初めて孤立集落の窮状を把握し、派遣要請を決めたことがわかった。

 同市の久喜邦康市長が派遣を求めてから2日後のことで、上田清司知事はこの間、さいたま市内でクイズ大会や自転車関連イベントに参加していた。

 久喜市長の意向を知った県危機管理防災部の福島亨部長は15日夕、上田知事に現地の状況を伝えたが、上田知事は「除雪のための派遣要請はできない」と判断したという。

 県によると、上田知事は15日、さいたま市で開かれた「埼玉サイクルエキスポ2014」に出席。16日には「埼玉クイズ王決定戦」に参加した後、新病院の起工式に出席した。秩父市などが自衛隊への派遣要請をし続けている事実は知っていたという。

 県が本格的に派遣要請の検討を始めたのは17日朝。同日午前9時から陸上自衛隊の連絡員が県危機管理防災センターに待機し、県の担当者が秩父市などに「具体的な被害状況を報告してほしい」と連絡した。

 県が各自治体の情報をまとめ、同日午後4時頃、断水や停電、食料不足の孤立集落が秩父市や長瀞町、神川町に計6地区(約180世帯)あると把握した。福島部長が上田知事にこの状況を報告し、約2時間半後に正式に派遣要請した。

 上田知事は「当初は東名高速の渋滞のような緊急かつ切迫した状況ではなかった」とした上で「要請を断ったわけではなく総合的に判断した結果」と強調した。

 派遣要請をし続けた久喜市長は「秩父地域の危機的状況が県に届いていないと感じる。公務で忙しいのはわかるが、知事や県幹部の方にも現場を見てもらいたかった」と残念そうに話した。

 読売新聞が大雪で被害を受けた周辺の都県を取材したところ、15、16日に公務や休日を変更して災害対応にあたった知事は複数いた。長野県の阿部守一知事は、16日に予定していたタウンミーティングを中止して県庁で災害対応に専念。群馬県の大沢正明知事も同日の公務をすべてキャンセルし、前橋市や高崎市などの状況を視察したという。
(2014年2月19日07時29分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20140218-OYT1T01407.htm?from=popin

法定受託事務と介護扶助

地方自治法で、自治事務と法定受託事務という言葉が出てきます。

第二条(第1項~第7項 略)
8 この法律において「自治事務」とは、地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託事務以外のものをいう。

9 この法律において「法定受託事務」とは、次に掲げる事務をいう。
 一 法律又はこれに基づく政令により都道府県、市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、国が本来果たすべき役割に係るものであつて、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの(以下「第一号法定受託事務」という。)
 二 法律又はこれに基づく政令により市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、都道府県が本来果たすべき役割に係るものであつて、都道府県においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの(以下「第二号法定受託事務」という。)

10 この法律又はこれに基づく政令に規定するもののほか、法律に定める法定受託事務は第一号法定受託事務にあつては別表第一の上欄に掲げる法律についてそれぞれ同表の下欄に、第二号法定受託事務にあつては別表第二の上欄に掲げる法律についてそれぞれ同表の下欄に掲げるとおりであり、政令に定める法定受託事務はこの法律に基づく政令に示すとおりである。

11~12 略

13 法律又はこれに基づく政令により地方公共団体が処理することとされる事務が自治事務である場合においては、<国は、地方公共団体が地域の特性に応じて当該事務を処理することができるよう特に配慮しなければならない。>

14~15 略

16 地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならない。なお、市町村及び特別区は、当該都道府県の条例に違反してその事務を処理してはならない。

17 前項の規定に違反して行つた地方公共団体の行為は、これを無効とする。

介護保険法では、都道府県の事務の一部を除き、ほとんどが自治事務です。
<国は、地方公共団体が地域の特性に応じて当該事務を処理することができるよう特に配慮しなければならない>わけです。(第13項)

もちろん、法令に(市町村等は都道府県の条例にも)違反して事務処理することはできません。(第16項、第17項)

では、国の通知はどうか、といえば、自治事務に対しては、
「地方自治法第245条の4第1項の規定に基づく技術的な助言」である旨が申し添えてある場合がよく見られます。
国の見解は示していますが、法令と同等の拘束力は(直接的には)ありません。

一方、法定受託事務の場合は、
「地方自治法第245条の9第1項及び第3項の規定に基づく処理基準」となっていたりします。
こちらは、拘束力があるとされています。

生活保護法にある自治体の事務は、主要部分については、こちらの法定受託事務です。

たとえば、介護扶助などもそうです。

だから、

被保険者以外の者(いわゆる「みなし2号」)についても被保険者に準じた範囲とするものであること

と国が定めている以上、自治体はそれに従う必要があります。

したがって、たとえば
「うちの自治体では支給限度管理対象外の加算(緊急時訪問看護加算など)も含めて支給限度内に収まるように」
というようなことを言い出したとしたら(普通はあり得ない見解ですが)、

「あほか」


と言ってもよいということになります。

みなし2号の介護扶助で(被保険者と異なる水準しか提供しない)独自基準は可能か、というような意味なら、ローカルルールはあり得ません。


なお、介護保険法第43条第3項等により、市町村が国と異なる支給限度額を条例で定めている場合には、
その支給限度額に従うこととなります。

国(生活保護担当部署)は、全国一律の支給限度額にあわせることを定めているのではなく、
その地域の被保険者と同等のサービスを「みなし2号」である被保護者にも支給することを求めているのですから。

虐待通報は名誉毀損?

ひさびさ、ネット上某所の話題から。

ある資格試験の問題についての疑義のようです。

軽度の認知症がある独居高齢者が、訪問介護を利用しています。
近所の親族に預金通帳の管理を依頼しているのですが、
ヘルパーは本人から「親族が勝手にお金を使い込んでいるらしい」と聞きました。

ヘルパーがサービス提供責任者とともに最初に取り組むべきこととして、もっとも適切なものは何か。

五問択一ですが、うち三問は省略。
受験関係の業者は「地域包括支援センターに相談する」を正答としていますが、
「親族に事実を確認する」が正しいのではないか、との声があるようです。

(軽度にせよ)認知症のある方の言葉を、事実確認せずに、いきなり地域包括支援センター(以下「包括」)に通報するのは、
・おおごとになりすぎる
・親族の名誉を傷つけたという名誉毀損になる
・ヘルパーの事業所側の責任問題になる

などの意見です。

現場としては、いろいろな考え方があるだろうとは思います。
その親族とヘルパーやケアマネの事業所の人々との間で面識があるとかないとか、状況によって。

ただ、上に書いた

・おおごとになりすぎる
・親族の名誉を傷つけたという名誉毀損になる
・ヘルパーの事業所側の責任問題になる

というのは、当たりません。

高齢者虐待防止法(正確には「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」)を見ていきましょう。

(養護者による高齢者虐待に係る通報等)
第七条 養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、当該高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない。

2 前項に定める場合のほか、養護者による<高齢者虐待を受けたと思われる>高齢者を発見した者は、速やかに、これを市町村に通報するよう努めなければならない。

3 刑法・・・の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は、前二項の規定による通報をすることを妨げるものと解釈してはならない。

使い込みがあったとしても第1項には該当しないと思われますが、第2項には該当する可能性があるでしょう。
(<高齢者虐待を受けたと思われる>に留意。確証がなかったとしても該当します。)
そして、第3項で、他の法律に守秘義務規定があったとしても、それが第1項や第2項の通報を妨げるものではないことが明示されています。

第八条 市町村が前条第一項若しくは第二項の規定による通報又は次条第一項に規定する届出を受けた場合においては、当該通報又は届出を受けた市町村の職員は、その職務上知り得た事項であって<当該通報又は届出をした者を特定させるものを漏らしてはならない。>

ヘルパーや訪問介護事業所から通報があったとして、その通報者を特定させる情報は、市町村は漏らしてはいけないこととなっています。
その守秘義務は、虐待通報の受理等を包括に委託している場合も同様です。

(事務の委託)
第十七条 市町村は、高齢者虐待対応協力者のうち適当と認められるものに、第六条の規定による相談、指導及び助言、第七条第一項若しくは第二項の規定による通報又は第九条第一項に規定する届出の受理、同項の規定による高齢者の安全の確認その他通報又は届出に係る事実の確認のための措置並びに第十四条第一項の規定による養護者の負担の軽減のための措置に関する事務の全部又は一部を委託することができる。

2 前項の規定による委託を受けた高齢者虐待対応協力者若しくはその役員若しくは職員又はこれらの者であった者は、<正当な理由なしに、その委託を受けた事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。>

3 第一項の規定により第七条第一項若しくは第二項の規定による通報又は第九条第一項に規定する届出の受理に関する事務の委託を受けた高齢者虐待対応協力者が第七条第一項若しくは第二項の規定による通報又は第九条第一項に規定する届出を受けた場合には、当該通報又は届出を受けた高齢者虐待対応協力者又はその役員若しくは職員は、その職務上知り得た事項であって<当該通報又は届出をした者を特定させるものを漏らしてはならない。>

つまり、市町村にせよ、包括にせよ、
誰から通報があったかということは漏らさないように対応することが義務づけられていますから、
親族が「濡れ衣」だったとしても「名誉毀損」にも「通報者の責任問題」にもなり得ません。

これは、児童虐待防止法(児童虐待の防止等に関する法律)、障害者虐待防止法(障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律)などでも、同様です。

虐待を防ぐためには、確証がなくても専門機関に通報することができるようにする。
善意で通報した人間が、刑事上あるいは民事上の不利益を受けないようにする。

現在の各種の虐待防止法は、そういう意味も込められています。

はにゅう と はぶ

「羽生」
 
という固有名詞は、もともと
 
「はにゅう」
 
と読む人が多かったのではなかったかと思います。
 

プロ棋士の
 
羽生 善治(はぶ よしはる)さんが、将棋界の7大タイトルすべてを制覇した頃、
 
「はぶ」
 
という読み方が有名になって、
 
今回、ソチ五輪男子フィギュアスケートで、
 
羽生 結弦(はにゅう ゆづる)選手が金メダルを取って、
 
「はにゅう」
 
が盛り返した、というところでしょうか。
 

どちらも凄いですが。
 
はにゅうさんは、自宅の被災や練習場の確保難など、大変なところから金メダル獲得。
周囲の方々を含めて、おめでとうございます。

カーリング小野寺がインフル・・・

って、セカンドの小野寺佳歩さんだったんですね。

ネボケマナコで携帯(スマホではない)で五輪情報のタイトルを見ていて、
スキップの小笠原(旧姓:小野寺)歩さんかと早合点してしまいました。

佳歩さんには気の毒ですが、
そしてチームにも影響はあるでしょうが、
小笠原歩さんがインフルエンザだった場合には、それどころではなかったと思います。


こういうことがあると、夫婦同姓・別姓の問題をまた考えたりしますが、
今回は、私がそそっかしかっただけで(苦笑)

少なくとも当面は、代わりにリザーブの吉田知那美さんが出場となったようです。

ALS患者、福岡市対応に審査請求

「介護保険優先」介助に制限 ALS患者「不当」 福岡市対応に審査請求 申し立て、全国で相次ぐ

=2014/01/22付 西日本新聞朝刊=[更新日時]2014年01月24日
http://qnet.nishinippon.co.jp/medical/news/kyushu/post_1305.shtml

必要な情報がきわめて多い記事ですが、なるべく最小限の引用となるよう努力してみます。
なお、文字強調は引用者の判断です。

 全身の筋肉が衰える筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症した福岡市の61歳の男性が、40歳以上のALS患者は介護保険の適用対象とする法の規定により、市から十分な介助サービスを受けられないのは不当として、行政不服審査法に基づく審査請求を福岡県に申し立てたことが分かった。介護保険の枠内の介助では不十分な障害者に対し、国は市町村の判断で障害者向け福祉サービスの上乗せを認めているが、市町村によって対応はまちまち。男性は昨年、サービス上乗せを福岡市に申請したが、却下されていた。

 障害者総合支援法と介護保険法は、ALSなど16の特定疾病がある障害者は40歳から、それ以外の障害者は65歳から、障害福祉サービスから介護保険サービスに移行するよう規定。介護保険の方が地域的なサービス供給の偏りが少ないことなどが理由だが、「年齢によって一律に福祉サービスを制限するのはおかしい」とする障害者の不服申し立てが全国で相次ぎ、岡山県では行政訴訟に発展している。

「介護保険の方が地域的なサービス供給の偏りが少ないことなどが理由」
というのが適切かどうか疑問ですが、
ともかく、この方、池田さんは、2012年11月にALSと診断され、一人暮らしで、食事、排せつなど生活全般で介助が必要とのこと。

 ただ、認知機能に問題がない池田さんの介護認定は「要介護4」にとどまる。介護保険の枠で利用できる訪問介助は、週2回のデイサービス分を除くと月75時間程度。1割負担分の約3万3千円を払っても、1時間ずつ、1日2~3回の介助しか受けられず、毎月20万円を貯金などから取り崩してヘルパーを雇い、月40時間程度を追加している。

 池田さんのように、独居で収入が障害年金のみのALS患者は、40歳未満なら訪問介助は月最大186時間まで利用でき、負担もゼロ。池田さんは「年齢で線引きされ、出費を強いられるのはおかしい」と訴える。

 福岡市が福祉サービスの上乗せを認めているのは、原則、要介護5と判定した場合のみ。池田さんは要介護5への変更を求めるとともに、昨年3月に障害福祉サービスの上乗せを申請したが、市が却下処分としたため、県への審査請求で処分の取り消しを求めた。市障がい者在宅支援課は「介護保険の想定を超える障害とは判断できなかった」と説明している。 

この
「上乗せは、原則、要介護5のみ」
というところが、本件の最大の問題だろうと思います。

介護保険など他の制度による給付との優先関係については、障害者総合支援法(以前の障害者自立支援法)第7条で規定されています。

自立支援給付は、当該障害の状態につき、介護保険法・・・の規定による介護給付・・・その他の法令に基づく給付であって政令で定めるもののうち自立支援給付に相当するものを受けることができるときは政令で定める限度において・・・行わない。

で、「要介護5でないと上乗せしない」という規定は、もちろん日本国の法令にはありません。

介護保険の要介護(支援)認定と、障害程度区分とは仕組みが違います。
(今準備が進められている障害支援区分は、さらに差異が大きくなるでしょう。)
だから、介護保険の最重度「要介護5」でなくても、障害程度区分が最重度区分になる可能性もあります。

<参考>
介護保険と障害者サービスとの関係
http://www.jupiter.sannet.ne.jp/to403/hs7.html

極端にいえば、要介護5でないと上乗せを認めないというのは、

100m走の結果だけでマラソンの選手を決めるようなもの

という感じでしょうか。


「上乗せは、原則、要介護5のみ」という自治体は全国的には少数派とは思いますが、
意外に生き残っているかもしれないので、審査請求かその後の行政訴訟かで、
明確に違法判断が出ればいいのにな、と個人的には考えています。

まあ、「原則」とあるので、どのような場合を例外として認めているか、ということにもよりますが。

もうひとつ、個人的にいえば、
「障がい者在宅支援課」というように「害」の字を避けて仮名書きされているようですが、
そんなことよりも障害程度区分の認定という基幹的な部分を十分理解しておくべきではなかったかなあ、
とも思います。

(この名称についての考え方については、いろいろ意見があるだろうとは思いますが。)

プロフィール

どるくす

Author:どるくす
FC2ブログへようこそ!

月別アーカイブ

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR