精霊の守り人 ほか

ことしも、あとわずかになりました。

ひところ、鬱、というか、ものごとを悲観的に捉えることが多かったのですが、
現実から、やや逃避して、「精霊の守り人」以下の「守り人シリーズ」を読み進めて心の安定を図っています。

著者は、文化人類学者でもある上橋菜穂子さん。
別の作品で本屋大賞を受賞しています。

守り人シリーズでは、新ヨゴ皇国など架空世界を舞台として、用心棒稼業の女性・バルサ、皇子・チャグムなどが活躍します。いわゆるファンタジーです。

王(皇)族、武人、呪術師、平民やそれにも属さない民など、さまざまな人物が登場します。
肉親、特に子を失った人など、悲しみを抱えた人間もいます。
バルサ自身、辛い過去を背負って生きています。

来年の3月から、NHKでドラマ化されるようですが、バルサ役は綾瀬はるかさんと聞いて、なるほどと思いました。
普段の綾瀬さんというより、「八重の桜」の、特に前半の八重のイメージが近いかも。

このシリーズはまだ読了していませんが、文化人類学者が各国の習俗を描き分け、また各地域の料理も魅力的で、素材は間違いなくおもしろいと思うので、ドラマでどのように描写されるのか、楽しみでもあり不安でもあります。

現実世界では、ことしも台風豪雨災害やテロなど、ろくでもないことが起こりました。
来年は、少しでもよい方向、ましな方向に向かいますように。
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同姓の方が親しみを感じるか

前記事の補足も兼ねて、駄文を連ねてみます。


まず、
現在の制度でも、離婚時に、旧姓(婚姻前の姓)に復帰することも、現姓のままでいることも選択できるから「夫婦別姓になると、離婚に歯止めが利かなくなりやすい」とはいえない
という意味のことを書きましたが、離婚を推奨するわけでも否定するわけでもありません。

ただ、破綻した家庭、不仲の父母のもとで養育されることが、必ずしも子どもの最善とはいえない場合もあります。
子が「かすがい」になって夫婦関係が改善される場合もありますが、それはともかくとして、姓のことで不便になるから離婚を思いとどまるようにする、というような制度は、憲法第24条の趣旨からは邪道であるような気がします。


次に、同居者の中に別姓の家族がいる例を挙げましたが、そのうちの例2~例4の災害に伴うような場合について、そういうようなご家族を批判する意図、あるいは哀れむべきと主張する意図はありません。
また、里親家庭など、血縁ではないお子さんを育てている家庭を批判する意図、あるいは哀れむべきと主張する意図もありません。

それらの人々が大事に子どもたちを養育していること、子どもたちも懸命に生きていること、それらについては何もいうことはありません。
ただ、そういう人々が置かれている環境と比べれば、母(又は父)と子どもの姓が異なることぐらいは、全く問題にならないぐらい些細な話ではないか、と私は思います。


それから、同姓の方が親しみ、一体感を持てる、という考え方について。

実は私は、というより私の兄弟姉妹は、父方のイトコたち(同姓)より、母方のイトコたち(別姓)の方に親しみを感じていました。
これは、私たちの子どもの頃、地理的に母方の親族との方が近かった、ということが理由だろうと思います。

企業経営者、あるいは政治家なども、同姓の子(実の息子)ではなく、別姓の娘や娘婿が事業や政治理念などを継ぐ場合があります(世襲への批判は、ここでは割愛)。

これは、経営者や政治家としての資質の問題もありますが、たとえば、敬称略で、

岸信介~安倍晋太郎~安倍晋三

という流れがあります。
同じ山口県内でも選挙区は違いますが、政治理念から見れば、岸氏から娘婿を経て現首相に引き継がれている、という見方は可能と思います。

もちろん、同姓に引き継がれる場合も多数あります。

田中角栄~田中眞紀子(あるいは田中直紀)

もっとも、この両者を見ると、人物の好き嫌いは別にして、別姓である前者の方が、成功した継承という印象はあります。


山口県の話が出たので、蛇足です。

長州藩、桂小五郎(後の木戸孝允)は、実は生家は和田家でした。
桂家の養子になりましたが、養父母とも死去したため、和田家で(桂姓として)養育されました。

また、吉田松陰も、杉家で生まれ、吉田家の養子となりましたが、同様の事情で杉家で(某大河ドラマのヒロインなどと同じように)養育されました。

うん、姓が違っても、家族としての絆や一体感に、問題はないですね。少なくとも長州藩では。

今の山口県出身の政治家さんたちは、どう思われますかね。

選択別姓は家族を崩壊させるか

まず、夫婦別姓になると、離婚に歯止めが利かなくなりやすい、という考え方について。

これは成り立ちません。
現在の制度でも、離婚時に、旧姓(婚姻前の姓)に復帰することも、現姓のままでいることも選択できるからです。


次に、家族は同姓であるべきか、ということについて。

たとえば、国民的家庭マンガとでもいうべき「サザエさん」や「コボちゃん」では、家族として暮らしている人々は、同姓というわけではありません。
いずれも、妻の両親たちと同居している一家ですが、いわゆる婿養子ではありません。

マンガ(フィクション)が例として不適当というのなら、現実にありそうなものとして。

例1:夫婦別姓を選択して、事実婚となっている男女とその子。

例2:災害などで両親が死亡し、母方の祖父母(両親とは別姓)が孫となる遺児を引き取って養育する場合。

例3:災害などで両親が死亡し、両親の兄弟姉妹(両親とは別姓)が甥姪となる遺児を引き取って養育する場合。

例4:災害などで両親が死亡し、すでに成人して嫁いでいる姉(夫の姓に改姓済)が弟妹となる遺児を引き取って養育する場合。

例1については、事実婚を選択した男女に対して保守派からの批判があるかもしれませんが(私の批判ではありません)、例2~例4について当事者を批判できる人はいるでしょうか?

一般のシロウトさんの不安はともかくとして、「別姓は家族の絆を弱める」などと公言する政治家は、例2~例4の子どもたちを傷つけている可能性があります。
ご本人は自覚していないでしょうが。

そういえば、ずっと以前に、
民法を改正すべきかどうかは国民の意識も踏まえて検討すべきではあるが、「選択別姓(別氏)」が子どもに及ぼす影響については、大人の感情的な推測でなく、児童心理学などの専門家の意見も合わせて検討すべきではないか。
と書いたのですが、
http://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/22403349.html

「夫婦(選択)別姓は家族を崩壊させる」とか「子どもが迷惑する」という主張の政治家が、児童心理学者などの発言・論文などを根拠にした例を私は知りません。

私にしても、児童心理学を専門として研究したわけではなく、遠い昔にに家族社会学の一端に触れたことがある程度ですが、それでも、その後の児童相談所や福祉事務所などでの経験からは、
「同じ名字でなければ夫婦が破綻しやすいとか、子どもの成育がうまくいかなくなるという考えは根拠がない」
という木内道祥裁判官の判断を支持したいと思います。

子どもたちがショックを受けたり、不安を抱いたりするのは、むしろ同姓の家族(父母)と血がつながっていなかった、というような事実を知ったときです(その場合でも、たとえば長年の「親子」としての愛情で乗り切っている里親家庭は多数存在しますが)。
あるいは、何らかの事情で、親と別れて生活せざるを得なくなった、児童養護施設などの入所児童などです。

姓が一緒であるかどうかよりも、「信頼できる保護者と、空間的、時間的に密接な環境にいられるかどうか」の方が、よほど重要だろうと思います。


もうひとつ。
家族の中で姓が違ったら、子どもが他の子どもたちからからかわれたりいじめられたりするのではないか、という危惧について。

これに対する私の考え方は、明快です。

そんなことで、からかったり、いじめたりする子どもたちの方が間違っています。
(特に、上の例2~例4のような事例も思い浮かべてください。)

周囲の大人は、特に政治家のような人間ならなおさら、そういういじめが起きにくいような世の中を目指すべきです。

続きを読む

「同姓は合憲」判決・雑感

こちらの記事で紹介した「夫婦同姓は合憲」判決について。
http://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/34409446.html

現時点で思うことを書いてみます。なお、便宜上、番号を付けましたが、重要な順というわけではありません。

1 多数意見が「合憲」となったこと


ある程度、予想はしていました。

「民法の規定は、夫婦がどちらの名字にするか当事者の話し合いに委ねていて、性別に基づく差別的な取り扱いを定めているわけではなく、規定自体に不平等があるわけではない」
ということで、形式的には差別がないということで。

また、「アイデンティティーの喪失感」というような、やや抽象的な損害よりも、むしろ、「職場やその関係先が旧姓使用を認めない」とか、「国家資格などが事実上使用できなくなった」というような具体的損害の方が勝訴の確率が高くなったかもしれません。

2 裁判官の3分の1が違憲と判断したこと


15名の裁判官の判断が分かれることは予想どおりです。
国民の意識が分かれるような問題では、たとえば「婚外子相続格差の違憲判断」が全員一致だったことよりも、ある意味、健全な印象です。
http://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/32411456.html

ただ、先の記事にも書きましたが、女性裁判官が全員「違憲」としたことについては、私を含めた世の男性は、重く受け止めるべきとは思います。

3 政界の反応


誤解を恐れず、大まかにいえば、公明党とそれより左側に位置するのではないかと思われる政党は、選択別姓に積極的、あるいは好意的のようです。

自民党の中でも、
「合憲だからこれでいいというのではない。抜本的に議論すべきだ」との声が出た(17日の党法務部会)※
とのことで、こういう意見が出るところは、好感が持てます。
ただ、「親子別姓になる。家族制度を守るためにも別姓導入に反対だ」「夫婦別姓は家族制度の崩壊につながるという心配がある」※という意見も、やはり根強いようです。

※印は、以下の記事より。
「夫婦別姓」機運乏しく=議論国会へ、自民は慎重(時事ドットコム 2015/12/19-14:37)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2015121900168

なお、別姓が家族制度の崩壊に云々という意見については、別記事で扱う予定です。


4 マイノリティの問題として


各種アンケートなどを見ると、夫婦選択別姓を容認してもよいという意見は、国民の中でも増えてきてはいるようです。
一方、自分自身が別姓を選択するか、というと、同姓を選択する、という回答が多いようです。
別姓を選択しようとする人は、少数派(マイノリティ)なのでしょう、少なくとも現時点では。
ですが、それは選択別姓制度を設ける意味がない、ということを意味しません。
「夫婦同姓」か「夫婦別姓」か、という制度選択なら、多数意見が勝ってもおかしくありませんが、ことは「選択別姓」ですから。

生物としてはマイノリティである同性愛、あるいはLGBTでも、(少なくともある程度は)許容されようとしている時代です。
それなのに、(異性愛の)夫婦別姓が許容されないのは、バランスが悪いように思います。

5 今後どうするか


いずれにせよ、国会で議論することについては、各党とも全面的には反対しにくいのではないかと思います。
ただ、現実的には、自民党が党議拘束を外さない限りは、次期国会で民法を改正して選択別姓を実現することは難しいのではないでしょうか。

それで、選択別姓については議論を継続しながら、当面、旧姓の通称使用を大幅に拡大する、という選択肢もあるように思います。
仮に選択別姓制度が実現したとしても、同姓を選択して改姓した人(たぶん女性が多数)の不利益は解消しないのですから。
具体的には、職場での旧姓使用容認の法制化、国家資格などでの旧姓使用の全面的容認などが考えられます。
それがすぐにできないのなら、少なくとも、看護師免許などの改姓届出時の手数料をただちに無料にすべきです。

同性愛者は生物として異常か

ヤフーブログでアクセス解析の画面を見ると、こんなグラフがあります。

イメージ 1

だいたい、うちのブログはこんな感じで、男性の方が多いのですが、
たまに女性の方が多いとうれしくなる。私(男性)はそんな人間です。
だから、同性愛傾向はありません(笑)

ちなみに、年代別ではこんな感じ。

イメージ 2
50代と40代がひっくり返ることもありますが、30代以上が多いのが通例。

さて、どこかの地方議員が、同性愛は異常という発言をして、批判されたり、
どこかの県職員が、同様の意見をツイッターで書き込んだりして物議をかましたことがありました。

「生物として異常」というような意味の発言もあったように思いますが、
(植物は無性生殖が多いから除外するとしても)
実は、同性愛的な行動は、有性生殖を行う動物の中でも少なからず出現しています。
それもサルのような霊長類から昆虫のような無脊椎動物に至るまで。
単に個体数を増やすという観点だけでは「不利」といえるのでしょうが、
なぜこのような行動がみられるのか、その理由はまだわかっていないようです。

人類の歴史の中でも、現代になって人間が堕落したから出現した、というわけではなく、
たとえば古代ギリシャ・ローマでも行われていましたし、
日本の戦国時代などの武士の間でも、それほど異常行動としてはされていなかったようです。

つまり、くだんの地方議員氏や県職員氏が「生物として異常」と言ったのなら、
それは「差別的」というよりも、「生物学的に無知」というべきなのかもしれません。

もっとも、人間にしても、それ以外の動物にしても、異性愛者よりは圧倒的に少数なのは事実だと思います。
そして、昨今の少子化問題を考えれば、くだんの発言をした気持ちも全くわからないわけではないのですが、
同性にしか性的関心を持てない人に「おまえは異常だ」と言ったとしても出生数にはつながらないわけで、
やはり賢い発言とは思えません。

そんなことを言って批判されるぐらいなら、選択的別姓を認めて異性愛者の男女の結婚を少しでも増やす方が、よっぽど少子化対策になると思うのですが。

小4女児、祖母の詐欺被害を防ぐ

最近、いろいろありまして、前記事関連の夫婦選択別姓や、消費税、三権分立・司法の独立がない国の話、下手な料理など、思いつくことはあるのですが、もうひとつ気が向きません。

それで、今週、いちばん気に入った話を。


父に電話し確認…小4女児、祖母の詐欺被害防ぐ

(読売新聞 2015年12月17日 08時05分)

 祖母の振り込め詐欺被害を防いだとして、栃木県警宇都宮南署は16日、宇都宮市内の小学4年女子児童(9)に感謝状を贈呈した。
 同署の山口勝隆署長は「本当にお見事」と感心していた。

 同署によると、女児は先月16日、自宅に帰ると、祖母が慌てた様子で「見たこともないくらいのお金」を数えているのを目にした。心配して「どうしたの」と声をかけると、祖母は女児の父親が出張先でトイレにお金や大事な書類を忘れ、お金が必要になったと電話をかけてきたと説明した。

 女児はテレビなどで見たことがある詐欺に似ていると感じ、「おかしいよ。パパは出張に行くなんて言ってなかった」と注意したが、祖母は慌てていて信じない。そこで、父親の携帯電話に「お父さん、お金に困っているの」「これ詐欺かな」と尋ね、父親に祖母の状況を知らせた。その後、父親と話した祖母は詐欺だと気づき、110番した。

 感謝状を受け、母親は「日頃から祖母とコミュニケーションをとっていたのが良かったのかも」と喜んだ。女児は「これからも詐欺に気をつけたいです」と冷静に話していた。

 山口署長は「詐欺被害防止には高齢者だけでなく子供も含めた啓蒙活動も有効かもしれない」と期待していた。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20151216-OYT1T50125.html


全文引用になってしまいましたが、その方が
「詐欺被害防止には高齢者だけでなく子供も含めた啓蒙活動も有効かも」
という署長氏のご意見にも沿うと思いました。

なお、介護予防(給付抑制、というか費用削減のために国がこじつけた理屈ではなく、本来の理念)についても、高齢者以外の人々への啓蒙、啓発は重要ではないか、と私は思います。

息子や娘、あるいは嫁や婿の言うことは聞かなくても、孫の言うことなら聞いてくれる高齢者はけっこう存在しそうですし。

「夫婦同姓は合憲」判決

「女性の再婚禁止期間」は違憲、「夫婦同姓」は合憲

(TBS系(JNN) 12月16日(水)11時58分配信)
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20151216-00000022-jnn-soci

以下、抜粋です。

 民法の「女性の再婚禁止期間」を定めた規定と「夫婦は同姓」と定めた規定が、それぞれ憲法に違反するかが争われた裁判で、最高裁大法廷は「女性の再婚禁止期間」を定めた規定は憲法違反とし、「夫婦は同姓」とする規定は憲法に違反しないと判断しました。

 1つ目の判断は「女性の再婚禁止期間」について。この規定は生まれて来る子どもの父親が誰なのかという争いを避けるために、明治時代に設けられたものです。岡山県内の30代の女性が「必要以上に女性にだけ制約を課している」と訴えていましたが、1審と2審では原告側の訴えが退けられていました。

 しかし16日示された最高裁の判断は損害賠償は認めなかったものの、「規定は憲法に違反する」というものでした。「科学技術の進歩や時代の変化で離婚後100日を超える再婚の禁止は過剰な制約となった」と指摘したのです。

 「夫婦は夫か妻どちらかの姓を名乗る」と定めた民法の規定は、「人格権や結婚の自由の侵害にあたる」として、“夫婦別姓”を求める男女5人が原告となっていました。

 最高裁大法廷は、夫婦同姓が社会に定着していること、家族の名字を1つとすることに合理性があるとしたうえで、「姓を変えることによるアイデンティティーの喪失は通称の使用などで補える」などと指摘しました。ただ、裁判官15人のうち、違憲だと判断した裁判官は5人いて、3人の女性裁判官全員が「違憲」と判断しました。

 具体的には、「夫婦同姓に例外を設けないことは、自己喪失感といった負担を負うこととなる」「変更前の姓の人物と別人と思われかねない。重大な利益侵害である」などというものでした。

 女性の6か月間の再婚禁止に関する規定については、国会での法改正が迫られることになります。

 一方、夫婦同姓の規定については、最高裁は「国会の裁量に任されている」としました。

 「法務省からは早期に民法改正を行うとともに、戸籍事務については、今後、早急に検討していく必要があると報告を受けている」(菅 義偉 官房長官)

 「改正法が成立するまでの間であっても、離婚後100日を超え6か月以内の女性を妻とする婚姻届が出された場合、受理することになる」(岩城光英 法相)


私が見たところでは、夫婦同姓合憲の件は新聞社系より放送局系の方が判決内容が詳しく出ているようで、もうひとつNHKからも抜粋。


夫婦別姓認めない規定 合憲判断も5人が反対意見

(12月16日 17時15分)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151216/k10010343011000.html

判決で最高裁判所大法廷の寺田逸郎裁判長は、「夫婦が同じ名字にする制度は、わが国の社会に定着してきたものであり、社会の集団の単位である家族の呼称を1つにするのは合理性がある。現状では妻となる女性が不利益を受ける場合が多いと思われるが、旧姓の通称使用で不利益は一定程度、緩和されている」などとして、憲法には違反しないという初めての判断を示しました。
そのうえで判決は、「今の制度は社会の受け止め方によるところが少なくなく、制度の在り方は国会で論じられ、判断されるべきだ」と指摘しました。
一方、裁判官15人のうち女性裁判官3人全員と、男性の裁判官2人の合わせて5人が夫婦別姓を認めないのは憲法に違反するという意見を述べました。

16日の判決では、15人の裁判官のうち10人の多数意見として、家族を同じ名字とする制度には合理性があると認めました。
多数意見では「民法の規定は、夫婦がどちらの名字にするか当事者の話し合いに委ねていて、性別に基づく差別的な取り扱いを定めているわけではなく、規定自体に不平等があるわけではない」という判断が示されました。そして、夫婦が同じ名字にする明治以来の制度は社会に定着しているとしたうえで、「家族を構成する個人が同一の名字を名乗ることで家族という1つの集団を構成する一員であることを実感することに意義を見いだす考え方も理解できる」として、制度には合理性があると認めました。一方、「名字を変える人にとってアイデンティティーの喪失感を抱いたり、社会的な信用や評価を維持することが難しくなったりするなどの不利益は否定できず、妻となる女性が不利益を受けることが多いだろう」として、制度にはデメリットがあることも認めました。
しかし、旧姓を通称として使うことが広まることによって不利益は一定程度緩和されるとして、個人の尊厳や両性の平等を保障する憲法には違反しないと判断しました。また、寺田逸郎裁判長はみずからの考えを補足意見として示し、夫婦別姓の裁判について、「司法の場での審査の限界を超えており、民主主義的なプロセスにゆだねることがふさわしい解決だ」として、国会で議論されるべきだという考えを重ねて示しました。

夫婦別姓についての判決では、最高裁判所の裁判官15人のうち、女性裁判官全員を含む5人が「婚姻の自由を保障した憲法に違反する」という意見を示しました。
最高裁判所の岡部喜代子裁判官、櫻井龍子裁判官、それに鬼丸かおる裁判官の女性3人は、連名で意見を出しました。
この中で「女性の社会進出は著しく進み、結婚前の名字を使う合理性や必要性が増している。96%もの夫婦が夫の名字を名乗る現状は、女性の社会的、経済的な立場の弱さなどからもたらされている。妻の意思で夫の名字を選んだとしても、その決定過程には、現実の不平等と力関係が作用している」と指摘しました。
そのうえで、「多くの場合、女性のみが自己喪失感などの負担を負うことになり、両性の平等に立脚しているとはいえない。今の制度は結婚の成立に不合理な要件を課し、婚姻の自由を制約する」として、憲法違反だと結論づけました。
また、木内道祥裁判官も、「同じ名字でなければ夫婦が破綻しやすいとか、子どもの成育がうまくいかなくなるという考えは根拠がない」などとして憲法違反だと判断しました。
さらに山浦善樹裁判官は、憲法違反だとしたうえで、「平成8年に、法制審議会が夫婦別姓を認める民法の改正案を出したのに、今も制度を変えていないのは、国会が立法措置を怠っているということだ」として、国に賠償も命じるべきだという反対意見を述べました。

菅官房長官は午後の記者会見で、夫婦別姓について、「国の主張が基本的に認められたものというふうに考えている。いずれにしろ最高裁の判断が示されたわけであり、それに基づいて対応していくというのは当然のことだと思う」と述べました。
そのうえで、菅官房長官は、記者団が今後夫婦別姓制度について議論していく考えはあるのか質問したのに対し、「国民の間にさまざまな意見があることも事実で、国民的な議論を踏まえながら慎重に対応していくことが必要だ」と述べました。

いずれも、あり得る判決だろうとは思っていました。
私自身は選択別姓容認の立場ですが、「違憲」論というよりは、国会の場などで(党議拘束を外して)議論すべきかと。

もうひとつ、裁判官で判断が分かれたのも予想どおり。
国民の間でも分かれていますし。

ただ、女性裁判官全員が意見と判断したことを、世の男性は重く受け止めるべきかもしれません。

このテーマ、機会があれば、また記事にします。

乾燥パパイヤ

気分がすぐれないときは、どうでもいい記事を・・・
画像ばかりで、かんがえなくてもいいし。

イメージ 1

乾燥パパイヤを使ってみました。
沖縄などでは、未成熟の果実を野菜として使うとのこと。

イメージ 2

鍋に水を入れて、パパイヤを戻して

イメージ 3

かなり量が増えます。

イメージ 4

汁物の具にしたり(ちょっとわかりにくいか)

イメージ 5

炒め物にしたり。
ちなみに、レトルトの「てびち」(ゴボウ入り)に、ニンジンやタマネギとともにパパイヤを加えています。

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どるくす

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