2016/01/24
前記事までの続きです。
まだ検討中で、穴があるかもしれませんが、順不同で。
訪問介護のサービスを「身体介護」と「生活援助」とに完全に切り分けることは困難です。
報酬告示の留意事項通知(平成12年老企第36号)でも、次のように記されています。
[1] 身体介護中心型の所定単位数が算定される場合
・専ら身体介護を行う場合
・主として「生活介護」や「身の回り介護」を行うとともに、これに関連して若干の生活援助を行う場合
(例)簡単な調理の後(5分程度)、食事介助を行う(50分程度)場合(所要時間30分以上1時間未満の身体介護中心型)。
[2] 生活援助中心型の所定単位数が算定される場合
・専ら生活援助を行う場合
・生活援助に伴い若干の「動作介護」を行う場合
(例)利用者の居室から居間までの移動介助を行った後(5分程度)、居室の掃除(35分程度)を行う場合(所要時間20分以上45分未満の生活援助中心型)。
今回の記事の内容では、「生活援助」全体を除外する案ではないとして、それでも調理や買い物が除外された場合、[1]の「簡単な調理」をどう扱うか、という問題があります。
「調理は絶対不可」なら、「身体介護(中心型)」の利用者にも支障が出ます。
「調理中心型」でなければよい、ということなら、どこで切るか、ということで、ローカルルールやモラルハザードが問題になるかもしれません。
A-2 「特段の専門的配慮をもって行う調理」との関係
ですが、配食サービスで、「特段の専門的配慮をもって行う調理」の一歩手前まで対応しているものは、少なくとも全国的には普及していません。
現在のところ、障害福祉サービスの居宅介護などより訪問介護の方が優先となっています。
でも、調理や買い物が必要な障害者(で、要介護2以下の方)は多数います。
例外的に障害福祉サービスを利用できるようにしますか?
これまでの制度でも、「上乗せ横出し」を理解できないアホ自治体(と、それに反論できない専門職)があったのに、ますます混乱しませんか?
重度化により介護費が増えるだけでなく、医療費も増えます。
なお、「ヘルパーが訪問した日の1食だけが栄養バランスが取れても、他の食事が貧しければ効果がない」という考え方は正しくありません。
3食×週7日=21食として、そのうちの何食かだけでも栄養的に豊かになれば、それなりの効果はあります。
「買い物」で済ませていた人が、「ヘルパー同行の買い物(外出介助)」に、
「調理」の代わりに「<自立生活支援のための見守り的援助>で本人の調理を支援」というように変わります。
介護保険の理念上、これは結構なことですが、身体介護の方がはるかに単価が高いので、介護費用は増えます。
短期入所やグループホームなどでは、要介護2以下でも配食サービスではない食事提供が可能です。
特養でも、例外的に入所となった軽度者、経過措置の入所者などがいます。
訪問介護利用の「純粋在宅」の方だけが不利になるのは、不公平です。
また、施設指向が高まり、介護費用が増えます。
有償ボランティア等で調理や買い物を支援しようという考えもあります。
買い物はともかくとして、調理はどうでしょうか。
仮に栄養面その他の配慮は(研修等で)行うようにしたとしても、身体介護や掃除、洗濯はヘルパーが訪問して行うのに、調理だけは他の人間が行う、というのは効率が悪くなります。
実行する人間だけの問題でなく、それを(費用面を含めて)コントロールする自治体の負担が増えます。
(国は楽になるかもしれませんが・・・・・・もしそうなら、気楽でいい商売ですな。)