頻回な生活援助?(6)少し追記あり

第152回社会保障審議会介護給付費分科会資料より
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000185798.html

資料1「居宅介護支援の報酬・基準について」の「訪問回数の多い利用者への対応(自治体調査結果)」を見てきましたが、本記事が最終回です。

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上の方は認知症日常生活自立度IIIaで人工透析が必要ということは、それだけでも大変だろうと思います。
サービスは「訪問介護(生活援助)」のみの記載で、中身の妥当性がはっきりしませんが。
ところで週3回の透析が必要な方なら、それだけで身障手帳が出ているはずで、介護保険の「限度額を超える生活援助(身体介護でも他のサービスでも同じですが)が必要な透析患者が、在宅生活を続けていく」ために不足するサービスについては、障害福祉サービスで支給決定されるはずです。
ケアマネはもちろん、相談を受けている地域包括支援センターは何をやっているのでしょうか?
それとも、自治体の障害福祉担当課がおかしな見解で制限でもしている?

下の方は他の市町村から「ケアホームに転居」とありますが、「ケアホーム」って何でしょうか?
障害者のグループホームで、(身体的に重い方向けの)共同生活介護が「ケアホーム」、(そうでない方向けの)共同生活援助が「グループホーム」と呼ばれた時期がありましたが、今は共同生活援助(グループホーム)に一本化されています。
ネット検索してみると、老健や(特養でも有料でも)老人ホームなどで「ケアホーム」と称しているところがあるみたいですね。居宅扱いでないとこの資料には載らないはずですから、有料老人ホームの類でしょうか。
で、服薬管理、介助、排泄の介助、部分正式介助、と身体介護で算定すべきサービスが「生活援助中心型」の欄に並んでいます。「更衣の見守り」等も身体介護の可能性があります。

以上、6記事に渡って書いてきましたが、紹介した以外の資料では(資料を見ただけでは)ツッコミどころがないか、ほとんどないケースもあります。
ですが、
「それ、生活援助中心型ですか?」
と言いたくなるようなケースが多く見られました。

第152回社会保障審議会介護給付費分科会の議事録はまだ公開されていませんが、これらの資料について医院がどのような発言をしたか楽しみです。

なお、特定事業集中減算の事務局案に対してどのような発言が出たかも、もちろん注目です。


2017/11/26 16:30追記
この一連のシリーズ記事は、介護支援専門員など関係者を批判する意図で作ったのではありません。
個々のケースには、今回の資料には現れていない様々な事情があるかもしれないので。

ただ、日本ホームヘルパー協会・青木会長の、
「本来身体介護で算定すべきものが、保険者の理解不足や利用者負担額の軽減、サービス利用を支給限度額の範囲内におさめるための理由で無理やり生活援助に位置づけられている場合もあります。」
https://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/35493003.html
という発言が、まさに裏付けられたのではないかと思います。
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頻回な生活援助?(5)

しつこく、介護給付費分科会資料の「訪問回数の多い利用者への対応(自治体調査結果)」から。
(残りは今回を入れて2回ほどの予定なので、ご容赦ください。)

「サービス内容(生活援助中心型)」の欄の赤い下線部は「身体介護で算定すべきではないか」と思われるものですが、今回の3件はそれほど多くありません。
ただし、ツッコミどころはあります。

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1番上の方は、要介護5で認知症なし、ガイドヘルパーの登録あり、ということは、身体障害者(手帳所持者)の可能性があります。「医療保険で訪問看護」ですから、難病(特定疾患)かもしれません。
障害者施策でのサービス利用(重度訪問介護など)が適当かもしれません。
「家族も要介護状態」ということですから、生活援助はその家族のケアプランにも位置づけ、前の記事にもあったように「要介護者間で適宜所要時間を振り分けることとする」(平成12年老企第36号)ことが考えられます。

2番目の方、「ベッド上の生活」というのが入退院を繰り返していた時期のことなのか現在も続いているのかわかりませんが、現在も続いているのなら「身体介護」がないというのが疑問です。
主介護者であった家族が老健入所ということは、現在は独居と書くのが正しいのではないかと思いますが、それはそれとして、仮に老健からその家族が退所してきたとしても(おそらくは)要介護者でしょうから、その後は、やはり生活援助を「要介護者間で適宜所要時間を振り分けることとする」ことが考えられます。

1番下の方は要介護1で限度額超過「有」となっています。「同居家族がいるが・・・要介護2の認定を受け」ということなので、「要介護・高齢夫婦世帯の在宅生活を安定させるために生活支援が必要」なら、その要介護2の家族のケアプランにも生活援助を位置付けるのは当然だと思います。
なお、「受診介助」は「身体介護」(通院等乗降介助の場合もありますが)でしょう。


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この3人は、認知症日常生活自立度が全て認定調査結果で書かれています。主治医意見書の記載でないのはなぜなのでしょうか?

さて、1番上の方、「就寝介助」というのは多少中身がはっきりしない面もありますが、オムツ交換、排泄介助、清拭、通院介助は「身体介護」で算定すべきでしょうし、「食事の見守り」のように状況によっては身体介護となる可能性があるサービスもあります。

2番目の方も、食事介助は身体介護でしょう? また、要介護5で「家族からの支援がなく」というのは「8時から20時まで仕事」でやむを得ないのかもしれませんが、この状態で「家族が施設入所を頑なに拒否している」ということを併せて考えると、虐待(ネグレクト)も視野に入ってくるように思います。これで地域ケア会議「無」というのは疑問があります。

1番下の方も、食事介助は身体介護でしょうし、「尿器の処理、見守り」というあたりも身体介護となる可能性があります。

(たぶん、あと少しだけ続きます。)

頻回な生活援助?(4)

「訪問回数の多い利用者への対応(自治体調査結果)」の続きです。
「サービスの内容(生活援助中心型)」の欄で赤い直線の下線部は身体介護(中心型)で算定すべきではないかと思われる行為、紫色の下線部は身体介護で算定される可能性があると思われる行為です。
(画像は拡大してご覧ください。)

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1番上の方は「歩行時のふらつき」等があり「見守り、動作確認が必要」ということですから、たとえ直接身体に触れていなかったとしても身体介護となる可能性は高いと思われます。
(平成12年老計第10号の1-6「自立生活支援のための見守り的援助(自立支援、ADL向上の観点から安全を確保しつつ常時介助できる状態で行う見守り等)」など)
その意味でも、この方の計画について、保険者が「適切と考える」と記載しているのが私には理解しにくいところです。

2番目の方は要介護4で独居、「身体状況も悪化」という状況。少なくとも清拭、足浴などが「生活援助中心型」となっているのに「適切なサービス利用である」と記載されているのが私には理解できません(仮に時間が短かったとしても「身体生活」にはなるはず)。

1番下の方の世帯は、認知症で夫婦ともに要介護ということで、ケアマネなど支援する方も大変だろうとは思いますが・・・・・・「本来であれば、家事担当である本人の」ということなら、この方は妻でしょうね?
いや、夫婦の役割分担はそれぞれだから性別だけを見て固定するつもりはありません。
ですが、仮に妻として、妻の方のケアプランにばかり家事(生活援助)を位置づけていませんか?
どちらも要介護で、家事を行うことが困難で、「夫婦2人の在宅生活を支えるため」なら、夫のサービス計画にも生活援助を位置づけることが可能なはずです。

生活援助については、要介護者間で適宜所要時間を振り分けることとする。(平成12年老企第36号)
https://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/29987866.html


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こちらの上の方は、視聴覚の障害で障害福祉サービス(おそらく居宅介護)の家事援助も併用のようです。
サービスの必要性が、要介護2という介護保険上の認定状態に起因するものだけでなく、視覚や聴覚の障害に起因するというべき状況なら、自立支援給付の支給決定が適切かどうかということも気になります。
(まあ、これはこの表だけではわからないことですが。)

下の方は、要介護5、認知症日常生活自立度IV、独居、尿失禁が常時、ということで、本人はともかく家族が施設入所に反対している現状は虐待(ネグレクト)に近いのではないかとも思えますが、それはともかく。
排泄介助、定期受診・通院介助というのは明らかに身体介護でしょう?
さらに、「限度額外で・・・排泄介助」という部分を支給限度内に入れて、代わりに生活援助部分を限度額外に持っていけば、この「訪問回数の多い生活援助」のカテゴリーにもリストアップされなかった可能性があると思います。
いや、リストアップされるかどうかの問題だけでなく、掃除・洗濯・ゴミだし・調理・・・と続く生活援助部分なら訪問介護以外の支援(介護保険外の、インフォーマルな支援を含む)にいくらかでも置き換える可能性があるように思いますが。

(つづく)

頻回な生活援助?(3)

「訪問回数の多い利用者への対応(自治体調査結果)」の続きです。

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1番上の方、「サービス内容(生活援助中心型)」欄に列挙されているのは、ほぼ身体介護と断定できるか、身体介護となる可能性が高いものです。
有料老人ホームで囲い込んで不要なサービスを押しつけているのでないとすれば(「保険者の観点」から見るとその可能性は低いでしょう)、こんなプランはあり得ないように思います。
また、要介護2というのはこの方の状態を正確に繁栄しているのでしょうか?

2番目の方は「訪問介護」だけではサービスの妥当性はわかりませんが、「定期巡回随時対応型訪問介護看護」が利用できる地域環境であれば、そちらを勧めるのは当然だろうと思います。
(私は「定期巡回・・・」サービスに批判的なことを書く場合がありますが、それは採算が合いにくい地域が多数あることからで、こういうサービスの存在自体に反対しているわけではありません。)

3番目の方も、要介護5,独居、寝たきり・・・とあれば、当然、身体介護部分が多いと思われます。
それにしても、保険者でも他サービスの有無が不明、って、なぜでしょう?
忙しすぎて、厚労省の照会ごときに回答する暇がなかったのでしょうか。


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これは3人とも要介護5で、程度の差こそあれ身体介護で算定すべきサービスを生活援助で位置づけているように思われます。
(保険者の記載が間違っていなかったら、ですが。)

(たぶん、つづく)

頻回な生活援助?(2)

「訪問回数の多い利用者への対応(自治体調査結果)」へのツッコミの続きです。
赤い直線の下線部は身体介護として算定すべきではないかと思われる部分です。

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1番上と2番目の方、「生活援助」とか「訪問介護」だけでは妥当性が判断できません。
ちなみに1番上の方は自己作成プランでケアマネ不在とのことですが、自己作成プランの場合には保険者が内容の妥当性についてチェックしていないのでしょうか?

2番目の方は、要介護3で「食事以外のADLは介助を要す」、同居家族も要介護1とのことですから、身体介護部分があると考える方が自然だと思います。

1番下の方の、「場合によっては介助により安全な入浴が実施できるよう支援」「可能な範囲で本人と一緒に・・・行えるように働きかける」というあたりは、平成12年老計第10号でいう「自立生活支援のための見守り的援助」として身体介護となる可能性が高いように思われます。
なお、認知症とは別に「精神疾患があり」ということは、それについて精神科の主治医の意見を聴いたり、場合によっては障害者施策の利用も考えられます。


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1番上の方は「他サービスの利用の有無」のところに「夜間のトイレ介助等」と記載されているので、これは身体介護と認識されていると思いますが、「サービス内容(生活援助中心型)」の欄に「トイレ介助」が挙がっているのがわかりません。「移動見守り」とともに身体介護か、他の生活援助と組み合わせたとしても「身体生活」として算定していてもおかしくないと思います。
「家族が同居しているが、腰痛もあり見守るだけで介護できない」「ADLは全介助」ということなので、身体介護となり得るサービスはもっと多いのではないでしょうか。

1番下の方も独居で、「身の回りのことが自分でできない」のだから、「全身清拭」はもちろん身体介護として、「ポータブルトイレの処理」という前にも移動・移乗や排泄等の見守りその他の身体介護的な部分があるような気がします。
認知症「有」のみで自立度がわかりませんが、これで福祉用具貸与と生活援助のみのケアプランなら、保険者が「適切なサービス利用とは考えていない」のも理解できます・・・・・・が、それは私が不適当ではないかと考えることと同じ理由でしょうか?

(つづく)

頻回な生活援助?(1)

第152回社会保障審議会介護給付費分科会資料より
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000185798.html

「資料1 居宅介護支援の報酬・基準について」の中には、
特定事業所集中減算の対象サービスとして、訪問介護、通所介護、福祉用具貸与の3サービスだけ残してはどうか、などという会計検査院の勧告(※)を馬鹿にしているのではなかろうかというような案も記載されています。

※注:こちらの記事を参照「集中減算の見直しを勧告」

が、今回はそこではなく、「訪問回数の多い利用者への対応(自治体調査結果)」をつっこんでいきます。
(画像が縮小されているので、拡大してご覧ください。)

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赤い直線の下線は、生活援助ではなく身体介護として算定可能ではないかと思われる部分です。
また、紫色の下線は、身体介護となる可能性もある部分です。
「訪問回数の多い生活援助を必要とする理由」という欄があって、その右側に「サービス内容(生活援助中心型)」という欄がありますから、保険者の記載ミスがなければ、日本ホームヘルパー協会の青木会長の

「本来身体介護で算定すべきものが、保険者の理解不足や利用者負担額の軽減、サービス利用を支給限度額の範囲内におさめるための理由で無理やり生活援助に位置づけられている場合もあります。」
https://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/35493003.html

という発言が裏付けられているように思えます。

特に2番目の方のように「失禁等もあり」ということなら、実際には生活援助(中心型)ではなく身体介護(中止陰方)か、いわゆる身体生活で算定すべき場合があるのではないかと思います。

(つづく)

必ず維持改善されるわけではない

老人ホームで83歳殺害容疑=浴槽に顔、元職員逮捕-警視庁

 東京都中野区の老人ホームで居住者の男性=当時(83)=が死亡する事件があり、警視庁捜査1課は14日、殺人容疑で、同施設で介護士として勤務していた元職員皆川久容疑者(25)=杉並区方南=を逮捕した。「間違いありません」と容疑を認めているという。

 逮捕容疑は8月22日未明、中野区白鷺の介護付き有料老人ホーム「ニチイホーム鷺ノ宮」の浴室で、湯を張った浴槽内に居住者の藤沢皖さんの口や鼻をつけるなどして窒息死させた疑い。
 捜査1課によると、皆川容疑者は当時1人で藤沢さんの入浴介助をしていた。任意の調べで、ナースコールが鳴り、目を離したら溺れていたと説明。しかしナースコールが押された形跡はなく、遺体の首に絞められた痕があったことから事件の可能性があるとみて捜査していた。
 皆川容疑者は藤沢さんが排せつの失敗で何度も布団をよごすなどしたため、「殺してやろうと思った」と説明。入浴前に首を絞めたことを認めている。日常的な虐待はなかったという。藤沢さんは認知症に加え体の動きが不自由になるパーキンソン病を患っていた。
 施設を運営する会社は取材に対し、「聞き取りの結果、職員による暴行の事実は確認できなかった」としていた。
 同社は「二度とこのような事態を発生させないよう、社員教育の徹底、安全管理体制の強化を図る」とのコメントを出した。
(時事ドットコムニュース 2017/11/14-12:07)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2017111400095&g=soc


ちょっと前の報道です。
ずっと気になっていたのですが、考えがまとまらなかったので、今の記事立てになりました。
(今でも十分にはまとまっていないかもしれません。)

パーキンソン病や認知症の方でなくても、衣類や寝具などを何度も汚すことはあります。
本人が意図しなくても、結果として介護に携わる人(施設職員でなくても家族とか)が何度も何度も更衣や入浴・清拭や清掃や洗濯などに従事しなければならないことがあります。

先日まで記事にしていた社会保障審議会などの議論や資料でも「自立支援」などが重視されている傾向がありますが、周囲や本人が努力すれば必ずよくなる(あるいは維持できる)というものではありません。

介護の手間を軽減するような手段の向上(機器、機具、手法など)はありますが、人間本人の老化というようなものは、歯止めをかけられず、あるいはその速度を緩やかにすることすら思うにまかせないことがあります。

排泄の世話が完了したと思ったその直後に次の排泄失敗が起きる。

海辺で積み上げた砂の城が次の波で跡形もなく崩れるような思いを、要介護高齢者に関わる人々や、介護を受ける高齢者本人が味わっています。

崩されても崩されても砂を積み上げていくこと、清潔を維持して乾いた衣類や寝具などを提供していくこと、客観的な心身の状況から見たら改善されないままいずれは死に至ること、それを無駄だと思うか、その間に少しでも人間的な生活を送れていると感じていれば意義があると思うか、考え方によって辛さに差があるでしょう。

この有料老人ホームの元職員を弁護するつもりは全くありませんが、
施設介護にせよ、家族介護にせよ、努力すれば必ずよくなるという思いがあるとすれば、
それは報われない場合もあるということを十分に認識しておいた方がよいだろうと思います。
(もちろん、報われる場合もあります。)


<参考・関連記事>

軽度にならなければ効果なし、ではない
https://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/32357804.html


のうちの
「要介護度の変化ばかりに着目しては、改善が見込めない重度者らの排除につながりかねない。」
(読売新聞H29.11.8社説)

事業者団体ヒア・質疑13

○堀田委員(慶応義塾大学大学院健康マネジメント研究科教授)
 質問は、共通する問題関心で、小規模多機能の宮島さんとグループホームの河崎さんにお願いしたいと思います。小規模多機能のほうでは、資料の7ページの5番の地域拠点としてというところ、グループホーム協会のほうでは、4ページの認知症ケアの拠点としてということをそれぞれお出しくださっていたと思います。このことについて、これをより進めていく、あるいはそのことを評価するということを考えたときに、登録者あるいは入居者、それを超えた世帯あるいは地域の多世代にとっての地域の拠点あるいは認知症のケアの拠点としての機能というものを、本日の資料ですと、それぞれ相談を受けているとか、研修事業とか認知症カフェをやっているといったアウトプットでまずは評価してはどうかというお考えではないかと推察したのですが、そういう理解でよろしいかということ。
 さらに、アウトプットレベルではなくて、地域全体の人の暮らし、地域の暮らしにとってのアウトカムというものを、地域の拠点あるいは認知症ケアの拠点としての機能が発揮された結果としてのアウトカムをどのように評価するかということについて、定性的あるいは定量的に何らか現状でアイデアをお持ちかということを教えていただきたいと思います。
 これはすぐに次に反映できるとは思っていないのですが、中長期的にそういうことが必要ではないかということで質問です。

○宮島意見陳述人
 今の御質問につきましては、8ページと9ページのパワーポイントのスライドが御説明の一つになるのではないかなと考えております。
 地域密着型サービスというのは、収容型ではなく拠点ということで、内包されている機能と外側にある資源とが融合することによって、相乗的な、例えば地域をつくっていくとか、地域の機能を高めていくとか、そういった効果があるのかなと考えております。ですので、私どもは、内包されている資源が一体何で、地域資源がどういうものがあって、どの組み合わせによってどのような効果が生まれるのか。先生がお話しのアウトプットの部分については、具体的には例えば運営推進会議においてのサービス評価とかそういったところでそれぞれの個別の事業所の中では話されているのではないかと思っております。もちろん、サービス評価の中にその項目があります。
 アウトカムにつきましては、毎年実態調査を全事業所に向けて行っていることと、先ほど申し上げましたサービス評価の項目の中でどのようなことが図られているのかということを定量的、定性的にアウトカムについて将来抽出して、拠点としての機能がどのように有効に機能しているのかということを評価することは今後やっていきたいなと思っております。

○河崎意見陳述人
 我々グループホームといたしましても、随分昔でなく、今は外に向かっていくということを大々的にやっておりますので、地域の中に入って、例えば相談支援。今、全国的にもモデル施設といたしましては、地域の大きなスーパーで、地域の人を対象に無料で相談支援をいたしております。そうすることによって、認知症というものに対する理解が。長生きすればみんなが通る道なのだなということ、認知症の理解度というものが随分と地域の方々にも広がってきたのではないかということも考えております。
 我々は、認知症の人を中心にまちづくりができればいいなという大きな夢も持っておりまして、サポーターの方、オレンジリングを持っていらっしゃる方も積極的に我々に協力していただき、そして認知症カフェをいたしておりますので、これは週に1回、例えば公民館とか自治体の公共の場所、それぞれの地域のスーパーなどで開いておりまして、週に一度したり、月に1回、2回のところもございます。そういうことを通じまして居場所づくりということ、そういうところを核にいたしまして地域の方の御理解と御賛同を得て、ともにまちづくりをしていく。そして高齢者になってでも、やはりよかったなという笑顔づくりの核になっていきたいという大きな望みを持ってやっておりますので、その辺のところのきっちりした結果はまだ数ではあらわせておりませんけれども、夢を持ってやっておるというところで、お答えになりますかどうか。どうぞよろしく。ありがとうございます。

○堀田委員
 残り2つは質問のつもりでしたが、意見です。先ほどの武久委員の御指摘と私も同じ関心を持っておりまして、きょうのお話をお聞きしながらも、改めて予防、リハビリ、看護、介護、ケースマネジメントという機能が訪問、通い、泊まりというさまざまな形態でより柔軟に組み合わせられるようにと。そのうちのどの機能がどの形態で組み合わされて、そのアウトカムがどうなのかという視点からシンプルに整理していくことはできないかなと感じさせられました。
 実は訪問介護の生活援助についても、一昨年度の老健事業の中でも、今の生活援助の中に、大半はきょう御説明くださったような生活援助という見かけをとりながらも、御本人のアセスメントをしたり、重度化予防につなげたり、意欲を出したりということにしているということも十分に認識されましたし、他方で、一部は純粋な家事代行的なものも残されているのではないか。そのことが評価を高めることを阻害しているのではないかという議論も既にあったところだと思います。
 そうすると、もしかすると、生活援助、身体介護という区分けを超えて、今、御退席されようとしています石本さんの御指摘と同じように、一本化して暮らしを支えるということの専門性あるケアが行われていたと言えば評価をするという形にシンプル化するということもあり得るのではないかなと思わされました。2点目は意見です。


<堀田委員の発言については、前半部分は質疑で、それに対する宮島氏、河崎氏の回答と並べる形で特にコメントせずにおきます。
堀田委員の発言の後半部分は、もっともな意見だろうと思います。

長々と紹介してきましたが、これでこの事業者団体ヒアリングについては区切りとします。>

事業者団体ヒア・質疑12

○石本委員(公益社団法人日本介護福祉士会会長)
 まず、24時間在宅ケア、冨永先生の部分のオペレーターの資格要件の緩和については、オペレーターはフェース・トゥ・フェースの場面ではない場面で判断をしなければいけないという役割があればこそ、そこは資格の専門性というのが必要ではないかというのが私どもの意見でございます。
 訪問介護に関しては、私どもも介護福祉士会でございますので、関係がある団体のスタンスとして申し上げます。まず、地域生活の介護ニーズを支える上でヘルパーが重要であるというのはもう重々認識しておりますし、身体も生活援助も同じように、必要な方にとっては必要であり、そこに必要な専門性が存在するのも重々わかっております。
 ただ、財源と人手に限りがあるという中において、機能分化や支え方のスタイルを変えるというのは、一定避けられない部分があるというのが現状だろう思っております。サ責の皆様をはじめ、現場が非常に業務過多になっている中で、有資格者の方とそうでない方が混在して同じ業務を担う現状のままでは、結果として介護の有資格者もしくは介護の価値がいつまでたっても上がらないのではないかと思います。
 本当に専門性が確保されている場面においては、しっかり評価されるべき。この意見書の中にもありますような看取りの場面であったり、多職種との連携の場面であったり、そういったところはしっかり評価されるべきと思いますし、仮に生活援助が緩和され、規制緩和が行われたとしても、そこのマネジメントを有資格者であるサ責がしっかりとグリップして、その質の管理を担保していく。そこをしっかりと評価するという考え方も一つあるのではないかと思います。
 現在、サ責の多くは介護福祉士が担っている状況にありますので、今後の方向性としては、サービス提供責任者は介護福祉士という方向に持っていくというのも一つの方法であろうと思っております。

<これは質疑ではなく意見ですね。もっともなところもありますが、「有資格者の方とそうでない方が混在して同じ業務を担う現状のまま」というのはどうなんでしょうか? 現状は介護福祉士なり(身体介護も可能な)研修修了者なりが業務を担っていますよね? 全業務に対して全て有資格者です。生活援助しかできない程度の簡易な研修修了者が入ってくることこそ「有資格者とそうでない方の混在」ではないかと思います。>


○石田委員(NPO法人高齢社会をよくする女性の会理事)
 それでは、ホームヘルパー協会、ホームヘルパー協議会のほうに質問です。御提出いただいた資料の3、4で実際に述べられているように、こういった形で知識や技術や経験を蓄積されたホームヘルパーが在宅に来ていただくということであれば、利用者としては安心ですし、こういった形の技術、スキルを評価していただくというのは大変重要だと思いますけれども、実際に御自身のほうからも御発言があったように、絶対的な人材の不足というのがございます。一方で、地域支援事業の中で住民互助型の、誰でもできる訪問、生活支援、家事援助のようなものを導入されて、今、実際に進んでいるわけです。その中で、それぞれの団体としては、こういった活動、この中で行われている住民互助型の訪問等、ボランタリーな助け合いの生活支援業務(の業務←削除)につきまして、非専門的なマンパワーと、両協会所属のような専門職ヘルパーとの関係について、どういったスタンスをとっていらっしゃるのか。あくまできっちり区別していくのか(全部分けるのか←削除)それとも何かの形で連携していくのか。その辺のスタンスをお聞かせいただきたいと思います。(ければなということで、←削除)2つの協会のご意見を、よろしくお願いいたします。

○青木意見陳述人
 日本ホームヘルパー協会としてもそのことは大変重要だと認識しておりますし、総合事業にはかなりかかわっています。依頼があれば、講師として行っています。私もつい2日ぐらい前に行ってきました。ところが、現実には人が集まりません。ということで、総合事業でこの先どうなるのかなと懸念しているような状況です。
 それから、受講に来ても登録をしない。ある市では80名ぐらいの方が受けに来たけれども、1名も登録しないという状況なのです。確かに人材不足ですし、物によっては、例えば買い物なども、その方が注文をしてとりに行くというケースは、地域の支え合いでも大丈夫だろうと思っています。そういうことであれば連携も必要かなと思うのですが、実際に連携というよりも人材不足、集まらない現状のほうが私たちの頭や心を痛めているような現状ですので、そのことだけを御報告しておきます。

○神谷意見陳述人
 互助型というところで、地域のボランティアさん、傾聴ボラとか買い物の支援というところは、包括支援センターと連携をとってやるということと、あと、民生委員さんとの協力も必要だと思い、民生委員さんも研修等に参加していただいているところが現状であります。
 例えば独居の方とか高齢者世帯の方で、離れている家族が1週間に1回ぐらいは見てきてほしい、見守ってほしいというのも今まで要支援の方にも十分ありましたし、そういったところは傾聴ボラとか民生委員さんのほうにお願いしていけばいいのではないのというお話を、包括支援センターを踏まえて、地域の区長さんというところと連携を図っているところでございます。
 もう一つはシルバー人材センターと一緒に行っているところでありますけれども、シルバー人材センターのところでは、60歳以上の方たちが会員になって登録してサービスを行うというところで、自立支援に向けてというところはなかなか難しいということで、そこも一緒にやっていこうねという中で、この4月から何回か研修も重ねております。ただ、事例を出していかないと理解ができないところがありますので、成功事例も踏まえて、こういうやり方をしていると、失敗事例も含めて、事例提供のほうをお互い出し合ってやっていくというところが必要なのかなということで、そこにはかなりの時間を割いて行っていますけれども、現場のヘルパーさんたちにそこに参加してもらうというところは、今は難しい状況であります。

<こちらは、だいたい質疑になっています(当然ではありますが)。なお、紫色の部分は厚労省の添削作業がそのまま残っているのでしょうが、原文のまま掲載しています。

たぶん、もう少しだけ続きます>

事業者団体ヒア・質疑11

○伊藤委員(日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局長)
 では、24時間在宅ケア研究会と日本ホームヘルパー協会、全国ホームヘルパー協議会にお聞きしたいと思います。

 まず、資料1の7ページにございますオペレーターのところですけれども、1ポツのところに「利用者の処遇に支障が出ない前提において」とございますが、随時対応職員の兼務によって仕事が重なってしまうといったことに対して、支障が出ないということをどのように担保するかという点について、お聞かせいただきたいと思います。オペレーターの対応というのは、特に緊急性が高い場合に来ると思っておりますので、その辺の担保をどのように考えているかを教えてください。

 もう一つは、日本ホームヘルパー協会と全国ホームヘルパー協議会にお聞きしたいのですけれども、生活援助の人員基準と報酬の見直しの検討については、私たちにとっては、介護離職につながるのが一番心配しているところでありまして、きょうのお話でもその辺の懸念をお話しされていたということで、やはり心配だなと思ったところです。サービスの質への影響と、サービスそのものが提供されなくなるのではないかという心配をしているところです。新しい入門的研修とか、それに伴う報酬ということを考えると、誰が担い手になるのかというところなのです。
 私ごとですが、ボランティアの体験を2種類のサービスでやってみたのですけれども、ボランティアが参加しているという状況はそこまで普及していないなというのも実感したところであります。だから、政府はこれから新たな入門的研修を考えるということなのだとは思うのですが、誰が担い手になるのか。
 今のヘルパーが担うということになれば報酬基準が下がってしまい、ヘルパーの離職が進んでしまうのではないかということで、これだけ訪問介護が必要だと言われながら、誰が担っていけるのか。その点について、全国でも状況が違うと思いますが、現場でリアリティーのある人材確保の見通しをそれぞれお聞かせいただきたいと思います。

○冨永意見陳述人
 オペレーターの兼務要件につきまして、夜は特養等の介護員、介護福祉士がかわりができる。あるいは夜間帯、訪問の緊急性が出た場合には訪問すると。そのときは、スマホで資料が全部出てまいりますので、資料の確認をしながら、緊急性の場合はそこでお医者さんに連絡をしたり、あるいは救急の場合には救急車を呼ぶことも可能ですし、オペレーターがそのときに状況の判断をして、どうするかを考えることができるということでございます。必ずしも夜間時においてこのことを兼務することによって処遇に支障が出るということはないと思っております。

○青木意見陳述人
 人材不足については私たちも非常に懸念しております。日本ホームヘルパー協会のみならず、国全体で考えていかなければ、本当に介護というものが崩壊してしまうのではないのかなと思えるぐらいに懸念をしております。
 研修面ですが、実際に研修をしても人が集まらない。それはなぜかというと、利用者のサービスを優先するからです。ということは、研修を行わなければ訪問介護員の質も自然と低下してきますし、悪循環になっているのかなと思っています。
 私たちも、現実にどういうふうに研修したら人が来るかということで、夜がいいのか。夜でしたら、夜の7時ぐらいから、訪問が終わってからなら来るだろうかと。ところが、24時間サービスというのがつきますね。それでなかなか集まらない。非常に頭を痛めているところなのです。私がお答えするというよりは、むしろ皆さんのお知恵をおかりしながら、全体で考えていかなければならない問題かなと懸念しております。

○神谷意見陳述人
 人材確保の見通しというところは大きな問題だと思いますが、今ある人材に対しての研修、ヘルパーは1人で利用者のおうちを訪問して、利用者のことをしっかり見ていきますというところなのですけれども、求められるところは、気づきだったり、気づきに対して判断力、そうして支援したことをしっかり報告できる。ヘルパーとして経験の積み重ねと、それから新たに研修等をして知識を入れていかないとスキルにならないよということは、日々入っているヘルパーが感じていることだと思うので、研修の必要性というところは入っているヘルパーが一番感じていると思います。1人で利用者のうちに行って、もしかしたら緊急時に対応しなければいけない状況にもあるかと思うので、そういったところで医療的なことも踏まえて、スキルを上げるために知識が必要だよねというところで研修体制は行っていかなければならないということなのですけれども、人がないというところで、日6本、7本の訪問をしていると、帰ってくるのが7時、8時。24時間の体制をとっているところは、それにも拍車をかけていくところで、では、日曜日に研修といっても、日曜日も活動していますということになると、難しいところがあります。
 ただ、誰が担い手になってやっていくのというと、職能団体である私たちホームヘルパー連絡協議会、日本ホームヘルパーのほうと一緒に行っていきたいと思っています。研修体制、研修の講師になることによって、自分たちももう一度見直すこともできると思うので、育てていく意味では職能団体がしっかりと行っていけばいいのかなと思っております。

<伊藤委員の質問のうち、「オペレーターの兼務で支障が出ないということをどう担保するか」(緑色)について冨永氏が回答しています。ただ、オペレーターとしての緊急対応については(質的には)スマホで資料を出すとかで可能としても、兼務の夜勤介護職業務の方に支障が出ないか、あるいは夜勤業務で「とり込んでいる」際にオペレーターとしての仕事に支障が出ないか、ということが気になります。伊藤委員の質問も、そういうことを含んでいたのではないでしょうか。

もうひとつ、「生活援助の人員基準や報酬の見直しにより人材確保がより難しくなるのではないか」という懸念(紫色)に対し、ヘルパー2団体は、「現任のヘルパーに対する研修時間が取りにくい」という少しずれた回答(黄色がかった茶色)をしています。伊藤委員は、(身体介護も生活援助も可能な現任ヘルパーではなく)「生活援助に特化した人材の確保は困難ではないか」ということを聞こうとしたように思えるのですが。>

(つづく)

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