老計第10号の改正

介護保険最新情報Vol.637で、いわゆる老計第10号通知が改正されています(H30.3.30日付け老振発0330第2号)。

(以下抜粋)

 身体介護における「自立生活支援のための見守り的援助」の明確化を行うため、「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について(平成12年3月17日老計第10号)」について、別紙のとおり見直しを行い、平成30年4月1日から適用するものである。

 なお、「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」において示す個々のサービス行為の一連の流れは、あくまで例示であり、実際に利用者にサービスを提供する際には、当然、利用者個々人の身体状況や生活実態等に即した取扱いが求められることを改めて申し添える。

↑この「あくまで例示」という部分は、当然のことながら踏襲されています。

で、「別紙」というか「本体」です。
一般的な「身体介護」と「生活援助」は変更がないので、「自立生活支援・・・見守り的援助」関連部分を紹介。
{赤色}がなくなった(改正前の)部分、<青色>が追加された(または改正後の)部分です。

 身体介護とは、[1]利用者の身体に直接接触して行う介助サービス(そのために必要となる準備、後かたづけ等の一連の行為を含む)、[2]利用者の{日常生活動作能力(ADL)}<ADL・IADL・QOL>や意欲の向上のために利用者と共に行う自立支援<・重度化防止>のためのサービス、[3]その他専門的知識・技術(介護を要する状態となった要因である心身の障害や疾病等に伴って必要となる特段の専門的配慮)をもって行う利用者の日常生活上・社会生活上のためのサービスをいう。(仮に、介護等を要する状態が解消されたならば不要※となる行為であるということができ
る。)
※ 例えば入浴や整容などの行為そのものは、たとえ介護を要する状態等が解消されても日常生活上必要な行為であるが、要介護状態が解消された場合、これらを「介助」する行為は不要となる。同様に、「特段の専門的配慮をもって行う調理」についても、調理そのものは必要な行為であるが、この場合も要介護状態が解消されたならば、流動食等の「特段の専門的配慮」は不要となる。

(略)

1-6 自立生活支援<・重度化防止>のための見守り的援助(自立支援、ADL・IADL・QOL向上の観点から安全を確保しつつ常時介助できる状態で行う見守り等)
 <○ベッド上からポータブルトイレ等(いす)へ利用者が移乗する際に、転倒等の防止のため付き添い、必要に応じて介助を行う。
 ○認知症等の高齢者がリハビリパンツやパット交換を見守り・声かけを行うことにより、一人で出来るだけ交換し後始末が出来るように支援する。
 ○認知症等の高齢者に対して、ヘルパーが声かけと誘導で食事・水分摂取を支援する。>

 ○入浴、更衣等の見守り(必要に応じて行う介助、転倒予防のための声かけ、気分の確認などを含む)
 ○移動時、転倒しないように側について歩く(介護は必要時だけで、事故がないように常に見守る)
 ○ベッドの出入り時など自立を促すための声かけ(声かけや見守り中心で必要な時だけ介助)
 <○本人が自ら適切な服薬ができるよう、服薬時において、直接介助は行わずに、側で見守り、服薬を促す。
 ○利用者と一緒に手助けや声かけ及び見守りしながら行う掃除、整理整頓(安全確認の声かけ、疲労の確認を含む)
 ○ゴミの分別が分からない利用者と一緒に分別をしてゴミ出しのルールを理解してもらう又は思い出してもらうよう援助>

 ○認知症の高齢者の方と{いっしょに}<一緒に>冷蔵庫のなかの整理等を行うことにより、生活歴の喚起を促す。
 ○洗濯物を{いっしょに}<一緒に>干したりたたんだりすることにより自立支援を促すとともに、転倒予防等のための見守り・声かけを行う。
 <○利用者と一緒に手助けや声かけ及び見守りしながら行うベッドでのシーツ交換、布団カバーの交換等
 ○利用者と一緒に手助けや声かけ及び見守りしながら行う衣類の整理・被服の補修>

 ○利用者と一緒に手助け<や声かけ及び見守り>しながら行う調理<、配膳、後片付け>(安全確認の声かけ、疲労の確認を含む)
 ○車イス<等>での移動介助を行って店に行き、本人が自ら品物を選べるよう援助
 <○上記のほか、安全を確保しつつ常時介助できる状態で行うもの等であって、利用者と訪問介護員等がともに日常生活に関する動作を行うことが、ADL・IADL・QOL向上の観点から、利用者の自立支援・重度化防止に資するものとしてケアプランに位置付けられたもの>


正直、「自立支援」や「重度化防止」の強調しすぎはどうかな、という印象がないわけではありませんが、
ざっと読んだ限りでは、例示が増えたぐらいで、まず妥当な内容かな、と思います。

「ヘルパーと利用者とが(単に)一緒に家事をやったら身体介護」というようなものではないことは以前から変わらないはずなので、「自立生活支援・・・見守り的援助」をまともに提供してきた訪問介護事業所、そういう計画に携わってきた居宅介護支援事業所、そしてそういう地域の行政にとっては、それほど戸惑う内容ではないと思います。

「自立生活支援・・・見守り的援助」のハードルをいたずらに上げるような改正ではないはずなので。

もっとも、「生活援助」が「自立生活支援・・・見守り的援助」に置き換わっていくとしたら、支給限度額が足りなくなる、というようなことが起きるかもしれませんが。
スポンサーサイト



留意事項通知の誤りか?

いろいろぼろぼろな、今回の介護報酬改定ですが、
居宅介護支援の留意事項通知(平成12年老企第36号の最後の方)で、
間違いらしきものを発見してしまいました。


イメージ 1


「特定事業所加算」のところにある文章と同じものが、「ターミナルケアマネジメント加算」のところにもありました。

コピーして貼り付けて、それを修正して・・・・・・という作業をしている間に残ってしまったのでしょうか?

Q&Aも訂正せんとあかん

前の記事で、留意事項通知案の間違いに触れました。

「大臣基準告示」(平成27年厚生労働省告示第95号)と書くべきところが
「指定居宅サービス基準」(平成11年厚生省令第37号)となっていました。

そのなごりが、Q&A Vol.1(H30.3.23)に残っています。


イメージ 1


赤で書いたように訂正しないと、意味が通じません。


話は変わりますが、今回の報酬改定で、新加算などの届出をいつまでに行えば4月から算定できるでしょうか?

現在のところ、自治体によって、差が生じているようです。

4月1日(休日なので翌4月2日)まで、というところ、
4月13日(4月15日が日曜なので、その手前の平日)まで、というところ、
郵送なら4月15日消印有効(持参なら4月16日まで)というところ、
5月以降の過誤請求でもよければ4月27日まで、というところ(障害福祉サービスはこのパターンらしい)

こういう状態になったのも、上のQ&Aのような間違いが生じたのも、もちろん厚労省が悪いのです。
自治体の責任ではありません。

やはり「留意事項通知案」の間違い

「ADL維持等加算の謎」の解決編です。

留意事項通知案の通所介護のADL維持等加算について理解ができなかったのですが、
正式の留意事項通知では修正されていました。

{赤色}が間違っている(削除された)記述、<青色>が正しい(追加された)記述です。

(12)ADL維持等加算について
 [1] ADLの評価は、Barthel Index を用いて行うものとする。
 [2] {指定居宅サービス基準第16条の2}<大臣基準告示第16号の2>イ(4)におけるADL値の提出は、サービス本体報酬の介護給付費明細書の給付費明細欄の摘要欄に記載することで行う。
 [3] {指定居宅サービス基準第16条の2}<大臣基準告示第16号の2>ロ(2)におけるADL値の提出は、ADL維持等加算(II)の介護給付費明細書の給付費明細欄の摘要欄に記載することによって行う。なお、当該提出は、当該提出の月の属する年の1月から12月までが評価対象期間となる際に{指定居宅サービス基準第16条の2}<大臣基準告示第16号の2>イ(4)によって求められるADL値の提出を兼ねるものとする。
  [4] 平成30年度{の算定}については、平成29年1月から12月までの評価対象期間について、{イ(1)、(2)、(3)、(4)の「その評価に基づく値(以下この号において「ADL値」という。)を測定し、測定した日が属する月ごとに厚生労働省に当該測定が提出されている者((5)において「提出者」という。)の占める割合」を「その評価に基づく値(以下この(12)において「ADL値」という。)が記録されている者((5)において「被記録者」という。)の占める割合」と読み替えたもの、及び(5)の「提出者」を「被記録者」と読み替えたものを満たすことを示す書類を保存していれば、それを根拠として算定できることとする。}<次のイからハまでを満たしている場合に算定できることとする。
  イ 大臣基準告示第16号の2(1)から(3)までの基準を満たすことを示す書類を保存していること。
  ロ 同号イ(4)の基準(厚生労働大臣への提出を除く。)を満たすことを示す書類を保存していること。
  ハ 同号イ(5)中「提出者」を「ADL値が記録されている者」とした場合に、同号イ(5)の基準を満たすことを示す書類を保存していること。>

  [5] 平成31年度以降に加算を算定する場合であって、加算を算定する年度の初日の属する年の前年の1月から12月までの間に、指定居宅サービス介護給付費単位数表の通所介護費の{イ、ロ又はハの}注11に掲げる基準に適合しているものとして都道府県知事に届け出ている場合には、届出の日から同年12月までの期間を評価対象期間とする。
  [6] 提出されたデータについては、国民の健康の保持増進及びその有する能力の維持向上に資するため、適宜活用されるものである。


大雑把に言えば、「指定居宅サービス基準」(平成11年厚生省令第37号)→「大臣基準告示」(平成27年厚生労働省告示第95号)です。

しかし、仮にも法令のプロが、こんな間違いするか?

ちなみに、大臣基準告示(平成27年厚生労働省告示第95号)の改定後の該当部分は厚労省サイトには掲載されていません。
(官報には出ています。↓こんなやつです。)

イメージ 1

H30障害報酬パブコメ結果6

11.障害児通所支援

 放課後等デイサービスの基本報酬に児童発達支援管理責任者専任加算が織り込まれたが、加算が無いのであれば、児童発達支援管理責任者の実務経験の新要件について、経過措置を平成31年3月31日まで延長すべきである。
 児童発達支援管理責任者については、現行においても1人以上専任かつ常勤で配置することとされており、事業所の運営にあたって必須であることから、基本報酬において評価することとしております。なお、児童発達支援管理責任者の実務経験の新要件については、質の向上を図るために平成29年4月1日から施行されているものであり、本件と経過措置の延長は関係がないものと考えております。

 放課後等デイサービスについて、障害の度合いで支援の難度を区別し、報酬に差をつけることには賛成である。しかし、今回の改定ではあまりにも区分1と2で報酬の差があり、区分1を算定するために児童が選別されることが懸念されることから、段階的に報酬を区分することが考えられないか。
 放課後等デイサービスの現行の基本報酬については、障害の程度を問わず一律の単価であったため、軽度の障害児ばかりの受け入れや、重度障害児の受入れ拒否につながっているとの指摘があったことから、障害児の状態像を勘案した指標を設定し、報酬区分を適用することとしております。
 報酬区分の設定方法等、報酬の評価の在り方については、今回の改定の影響を分析した上で、今後の報酬改定において検討してまいります。

 放課後等デイサービスの指標案について、内容が聴覚障害児に当てはまるところがない。障害はそれぞれ特徴があり、成人の障害支援区分のように利用者一人ひとりの状態像に応じた報酬区分を設けるべきである。
 今回の改定については、行動に課題のある障害児等、より支援の必要性が高い障害児を多く受け入れる事業所を評価することとしております。聴覚障害等の障害特性に応じた評価については、今回の改定の影響を分析した上で、今後の報酬改定において検討してまいります。

 放課後等デイサービスについて、事業所のサービス提供時間が短いから減算するのではなく、本来であれば、一回当たりの利用時間が短いことに対して減算すべきである。預かる時間の長さにより報酬が違うとなると、単純に長さを伸ばす事業者が増えるのではないか。
 今回の改定については、学校の授業終了後に提供する場合に、1日に行われるサービス提供の時間が短い事業所については、人件費等のコストを踏まえた基本報酬を設定することとしております。

 放課後等デイサービスについて、児童指導員等加配加算(II)を区分2であっても算定できるようにすべきである。
 今回の改定については、より手厚い人員配置をしている場合に評価することとしましたが、限られた財源の中、区分1のみ算定できることとしています。

 共生型サービスに関しては、それぞれの対象者のライフステージが大きく違うが故の難しさがあるにもかかわらず、児童発達支援・放課後等デイサービスともに、共生型サービスの単位数が通常の指定の場合よりも低いことについては違和感を覚える。共生型サービスの単位数を低くするのではなく、各分野の報酬と同程度の単位数にして事業所の指定をとりやすくするといった対応が必要だと考える。
 共生型サービスについては、地域の実情に合わせて、限られた福祉人材を有効活用するといった観点などから設けられたものですが、児童発達支援管理責任者又は保育士若しくは児童指導員が必ずしも配置されていないことから、基本報酬に差を設けております。しかしながら、児童発達支援管理責任者又は保育士若しくは児童指導員を配置した場合について上乗せして評価することとしており、障害児を支援する体制が整えられている場合には同程度の報酬が算定できることとなっております。

 看護職員加配加算について、算定要件が8点以上の医療行為をした場合となっているが、事業所側としては8点以上の医療行為を行う児童を預かるリスクを考えると積極的に看護師を配置して対応することはしないのではないか。
 看護職員加配加算については、事業所において、
看護職員加配加算(I):看護職員を1名以上配置し、医療的ケアに関する項目のいずれかの状態である利用者が1名以上いる場合
看護職員加配加算(II):看護職員を2名以上配置し、医療的ケアに関する項目に規定する状態であり、それぞれのスコアを合算し、8点以上である利用者の数が5名以上いる場合
看護職員加配加算(III):看護職員を3名以上配置し、医療的ケアに関する項目に規定する状態であり、それぞれのスコアを合算し、8点以上である利用者の数が9名以上いる場合
を算定要件としており、看護職員加配加算(I)については、項目に規定する状態であれば点数によらず利用者がいる場合には評価することとしています。

 放課後等デイサービスの基本報酬に区分を設定したことについて、サービスの質が低い事業所は淘汰されてしかるべきでるが、軽度の発
達障害等の児童への支援について、質の高いサービスを行っている事業所がきちんと評価されるような制度設計を検討してほしい。
 今回の改定については、行動に課題のある障害児等、より支援の必要性が高い障害児を多く受け入れる事業所を評価することとしております。今後、今回の報酬改定がサービス提供体制に与える影響を分析した上で、サービスの質に関する調査研究を行うなど、サービスの質を報酬体系に反映させる手法等を検討してまいります。

 障害児通所支援について、今回の見直しで報酬単価が下がったが、単価の見直しは専門職の必要性から見てもおかしいのではないか。
 報酬単価については、経営実態や処遇状況に基づいて設定をしております。
 収支差率の高い放課後等デイサービスについては報酬単価を引き下げる一方で、児童発達支援センターや重症心身障害児を支援する事業所等については、基本報酬単価の引き上げ等の見直しを行っております。

 児童指導員等加配加算の「専門職員を配置する場合」の資格要件において、看護職員が対象となっていないのは何故か。
 看護職員の配置については、看護職員加配加算により評価をしていますので、児童指導員等加配加算では対象外としております。

 看護職員加配加算について、算定要件である医療的ケアに関する項目のスコア8点以上の障害児が5人以上とあるが、この人数について、「月1回利用でも利用者とみなす」こととしてほしい。若しくは、出席している子どもの合計点数が40点以上であれば算定可としてほしい。
 ご意見として承り、今後の参考とさせていただきます。なお、具体的な算定要件については、今後、通知等においてお示しします。

12.障害児入所支援

 特になし。

13.障害児支援共通

 特になし。

14.その他

 本改定により、有資格者への評価が手厚くされることになるが、その需要に対して、現時点での有資格者の供給体制が不十分であるため、資格試験を実施等が必要であると考える。
 ご意見として承り、今後の参考とさせていただきます。

H30障害報酬パブコメ結果5

9.就労系サービス

 就労継続支援A型について、サービス利用開始時点において、病気の影響から遅刻早退することが予見できた場合は、不採用にせざるを得ないがそれで良いのか。
 就労継続支援A型の利用の可否は、暫定支給決定により、障害者本人の希望を尊重しつつ、より適切なサービスの利用を図る観点から、障害者本人の意向の確認とともに、就労継続支援A型の利用が適切かどうかの客観的な判断により決定されるものです。
 また、就労継続支援A型は、サービス提供拒否の禁止が規定されているため、暫定支給決定を経て就労継続支援A型の利用が適当と判断された場合、障害者の体調が事業所の平均労働時間に影響し、基本報酬の算定に影響が出ることを懸念して採否を決めることは、サービス提供拒否となるため、指定基準上認められません。

 就労継続支援A型は平均労働時間に応じた基本報酬の評価となるが、平均労働時間算出にあたっての短時間除外ケースを具体的に示してほしい。
 精神障害者等で体調に変動があったことにより短時間利用となってしまった場合や、退院直後のサービス利用が短時間となってしまう場合などは、平均労働時間数の算出から除外します。

 就労継続支援B型の基本報酬は、廃止される目標工賃達成加算分が反映されていない。減収となるので見直してほしい。
 目標工賃達成加算は、毎年工賃を引き上げることが求められており、工賃が少しでも下がると加算されない仕組みであったため、高工賃を実現している事業所を適切に評価できていないとの指摘もあったところです。
 今回の報酬改定では、経営実態調査における収支差を踏まえつつ、目標工賃達成加算を算定できない年であっても平均工賃月額に応じて評価する仕組みとすることで、安定した事業運営が可能となると考えています。

 就労継続支援B型における就労移行支援体制加算の前年度就労実績の就労とはパートタイム勤務も含まれるか、それとも一般雇用(常勤)
に限られるか。
 一般就労の定義は正規、非正規、労働時間数は問わないため、パートタイム勤務も含まれます。

 就労継続支援B型における就労移行新体制加算における一般就労には就労継続支援A型も含めるべきである。
 就労継続支援A型は、通常の事業所に雇用されることが困難であって、適切な支援により雇用契約に基づく就労が可能である障害者が利用する障害福祉サービスであるため、一般就労には含まれません。

 就労継続支援B型では、利用者の状況に応じて、週1日や半日利用も積極的に受け入れ、短時間でのサービス提供も行っている場合、平均工賃月額は低く算出される。平均時給や日額での算出とする、算定にあたり障害基礎年金1級の方又は支援区分5以上の方などを除外する、フルで利用している者のみを算定対象とするなど対応してほしい。
 十分な生産活動ができない重度の利用者への配慮として、障害基礎年金1級の受給者が利用者の半数以上いる場合に、平均工賃月額に2,000円を加えた額を平均工賃月額として報酬を設定しています。
 障害や疾病の状況により短時間や少ない日数の利用者がいることは承知していますが、就労継続支援B型事業所には少しずつでも知識・能力の向上を図ることが求められるものであり、徐々に作業時間を延ばしたり、通所日を増やすことを目指した支援を行い、工賃向上を図ることが望ましく、そうした努力を行う事業所とそうでない事業所間で報酬にメリハリをつけることも重要であると考えています。

 就労継続支援B型事業所の平均工賃月額を算出する際、50%以上の1級基礎年金受給者が占める場合は2,000円アップの根拠をお示し願いたい。
 障害福祉サービス等報酬改定検証調査(平成29年調査)によると、重度障害者支援体制加算(I)を算定している障害基礎年金1級受給者が半数以上いる場合には、重度障害者支援体制加算の算定がない事業所と比較して平均工賃月額が低いため、平均工賃月額の算出の際にそうした差を踏まえ配慮することとしています。

 就労継続支援B型の基本報酬について、改定案では工賃月額が低い場合も高い報酬を得られるようになっている。実績に応じてさらにメリハリをつけた報酬体系にしてほしい。
 今回の改定において、平均月額工賃の分布等を踏まえ、高工賃の事業所が高報酬を得られるようメリハリを付けた報酬体系としています。

 就労移行支援の定着率の定義について、就労を継続している期間が6月に達した者の数を利用定員で除すとしているが、これでは、定員より少ない実利用者数で丁寧に就労移行支援を行う事業所が不利になるため見直してほしい。
 就労定着者の割合は、前年度において、当該就労移行支援事業所で支援を受けた後就労して、就労を継続している期間が6月に達した者の数を、当該前年度の利用定員で除して得た割合となります。利用定員は利用実績を勘案して設定することが望ましく、利用実績数が利用定員より低い場合には、実績に即した利用定員を変更することも検討していただくことになります。

 通勤訓練加算について白杖による通勤訓練に従事する専門職とあるが、具体的にどのような者か。
 養成研修を受けた視覚障害生活訓練専門職等の専門職を想定しています。当該加算は視覚障害者の歩行訓練の専門職を費用負担をともなって派遣する場合に算定されます。

 就労移行支援事業について、激変を緩和するための措置(6ヶ月定着だけでなく、12ヶ月定着者もカウントして良い等)をお願いしたい。
 就労移行支援は一般就労を目的としたものであり、現行においても、毎年安定的に一般就労への移行実績だけでなく定着者を出すことが求められるサービスとなっているため、経過措置を設けません。

 就労移行支援の報酬区分を決定する就労定着者の割合を算出する際、重度の障害者への支援について評価してほしい。
 就労移行支援は、就労を希望する障害者であって、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる障害者に対し、障害者の一般就労への移行を実現することを趣旨とする障害福祉サービスであり、重度者か否かという基準では判断していないため、特別な評価をすることとはしていません。

 就労継続支援においては、実績が出せない事業所の安易な事業参入を防止するため、開設後1年間を経過していない事業所については、現行より低い基本報酬」とあるが、それによって質の低い事業者が排除されるとは限らないため、安易な事業参入を防止するためには、参入しようとする事業者に対し、事業開始の留意点等について、たとえば厚労省や自治体のウェブサイト等で情報提供する方が効果的と思われる。
 ご意見として今後の施策の参考にさせていただきます。

10.相談系サービス

 今回の報酬改定は相談支援にとって厳しいものと捉えている。基本報酬は下がってしまい、加算取得状況が厳しくなり、加算取得の為に業務量が倍増してしまうと感じる。
 相談支援に関する今回の報酬改定では、質の高い相談支援の実施に対して適切に評価を行うことができる報酬体系等の構築や、モニタリング標準期間の一部見直しを行うこと等により、相談支援全体の質の向上を図ることを目的とした内容としています。なお、今回の見直しにより、既に質の高い支援を実施している相談支援事業所においては、新設される各種加算の取得が可能となるなど、事業所の安定的な運営に資するものと考えております。

 障害時は成長によって環境や障害の状況が大きく変わる可能性が高いので、モニタリング等の頻度をもっと増やしても良いのではないか。
 障害児相談支援については、障害児相談支援の在り方も含め、モニタリング期間について、次期報酬改定に向けて引き続き検討及び検証を行うこととしております。

 施設入所者等の計画相談支援については、施設内での生活をどのようにしていくかを考えることがほとんどであるため、入所している施設における個別支援計画で十分マネジメントできていると考える。そのため、施設入所者等については、計画相談支援を必須としない規定を設けてはどうか。
 施設入所者に対する計画相談支援については、地域移行を希望する利用者への支援や障害福祉サービス以外の利用ニーズへの対応など、在宅利用者と同様に定期的な利用者の状況のモニタリングやサービス調整等が必要な場合があり、施設入所者等への計画相談支援も重要であると考えています。

 「サービス提供時モニタリング支援加算」は、相談支援事業所と同一敷地内にあるサービス提供事業所等は、兼務の可能性等もあるので対象としない方が良いのではないか。
 サービス提供時モニタリング加算」については、相談支援専門員が兼務により他事業所の職務に従事している場合は、当該事業所のみのサービス提供状況を確認した場合は、当該加算を算定できない取扱いとしています。

 地域移行支援の基本報酬について、地域移行の実績を評価すると記載があるが、何をもって実績とするのか。退院後、ほどなく再入院するケースが少なくないがそのようなケースも実績とみるのか。
 地域移行支援事業所が支援した利用者が精神科病院や障害者支援施設等を退院・退所したことで判断することになります。なお、地域移行後の状態変化は原則問われませんが、個別の判断となります。

 障害福祉サービスの体験利用や体験宿泊については、地域移行支援事業所が加算を算定するが、日中活動サービス事業所など受入れ事業所が直接利用できるような加算にしてほしい。
 障害福祉サービスの体験利用や体験宿泊にかかる加算には、体験費用の他に、連絡調整等にかかる費用も含まれるため、地域移行支援事業所が算定する必要があり、受け入れる事業所に対する加算とすることはできません。

H30障害報酬パブコメ結果4

6.日中活動系サービス

 生活介護は重度障害者にとって重要な「日中の暮らしの場、つながりの場」となっており、また、施設・病院からの地域移行や在宅での引きこもりからの通所の場合、短時間からスタートするのが通常である。今回初めて生活介護で短時間利用の減算が導入されようとしているが、個々のニーズ・生活パターンが歪められたり日中の場を失うことが決してないよう、障害特性等やむを得ない事由での短時間利用は除外してほしい。
 今回の見直しに当たっては、関係団体等から御意見をうかがった上で、当該減算の対象となる利用者数を算定する際には、障害特性等により長時間の利用が難しい利用者については算定から除外できることとするなど、一律な算定方法とならないようにいたします。

 運営している生活介護事業所において、現在、支援員間の意思統一を図り支援の質を確保するために、毎週土曜日は利用時間を短縮し、残りの時間を職員会議の時間に充てている。しかし、今回の報酬改定により、このような場合も短時間利用減算の対象になってしまうため、減算の対象から除いてほしい。
 運営規程に営業時間を明示した上で、特例的に短時間開所の日を設けている場合等については、平均利用時間の算定から外すなど柔軟な取り扱いができるよう周知します。

 重度児者対応支援加算は、事業者の見込みの届け出のみで算定できるのか。
 重度児者対応支援加算については、実際に支援が行われた日において、障害支援区分5若しくは区分6又は障害児支援区分3に該当する利用者の数が全利用者の100分の50以上であった場合について、算定が可能です。

 福祉型強化型短期入所サービスは、医療的ケアが必要な利用者を受け入れるための制度とあるが、看護職員は常勤換算で1以上とのことなので、医ケア児の利用時間を通じての配置は必須ではないとの趣旨か。
 福祉型強化短期入所サービス費の算定に当たっては、看護職員が常勤換算で1以上配置されていれば、医療的ケアが必要な利用者の利用時間に関わらず算定が可能です。

 入所施設の不足等により、短期入所の長期利用は必要なケースが多い。実際にこれまでの実績で空きができれば入所に切り替えており、1年間の猶予期間とせずに実際のニーズで判断してほしい。
 短期入所の長期利用については、短期入所の本来の趣旨や実態を踏まえて、適正化を図ることとしていますが、介護者が急病や事故により長期間入院することとなった場合等はやむを得ない事情による長期利用については一定の配慮を行うこととしています。

 短期入所の長期利用の制限について、今回の改定で30日が限度と示されたが、連続して30日利用した後、1日以上利用しない期間があれば、再度連続した30日以内の利用は可能となるのか。
 連続して30日利用した後、1日以上利用しない期間があれば、再度連続した30日以内の利用は可能とします。

 長期(連続)利用日数の上限設定について、現在の障害福祉サービス利用者の状況を明らかにした上で説明すべきである。単に介護保険サービスと同じ扱いにするだけでは、利用制限をするだけになる。長期で短期入所を利用しなければいけない状況を改善するための施策を打ち出すべきである。
 長期利用の理由について、平成28年度改定検証調査の結果においては、「介護者の高齢化、体調不良等による介護力の低下で自宅に戻ることが困難」等の理由が挙げられています。
 長期利用については、短期入所の本来の趣旨や実態を踏まえて、適正化を図るものですが、介護者が急病や事故により長期間入院することとなった場合など、やむを得ない事情による長期利用についての一定の配慮を行います。

 医療型短期入所について、このたび示された障害福祉サービス費の報酬改定案によると、基本報酬の増額はされたものの、「医療型短期入所」の運営を安定させるには、さらなる上積みが必要であると考える。
 今回の報酬改定では、医療型短期入所について、基本報酬の増額のほか、医療的ケアが必要な障害児者の受入れを積極的に支援するため、看護職員を配置し、医療的ケアが必要な障害児者を受入れた場合の短期入所の新たな報酬区分として、「福祉型強化短期入所サービス費」を創設します。この福祉型強化短期入所においては、医療的ケアが必要な利用者を受け入れた場合や、重度な障害児者を一定割合受け入れる場合について、支援の負担を評価する加算を併せて創設し、医療的ケアが必要な利用者への支援を強化します。

7.施設系・居住系サービス

 日中サービス支援型グループホームの報酬が不十分ではないか。
 日中サービス支援型共同生活援助サービス費は、既存の共同生活援助の基本報酬を踏まえ、日中・夜間の支援等に必要な報酬を含めたものであり、適正な報酬となっています。

 夜勤職員配置体制加算について、算定要件を満たす夜勤職員の数を越えて配置している場合の評価はされないため、一人増えるごとにさらに単位が追加されるようにしてほしい。
 夜間業務については、利用者の重度化・高齢化に伴う業務負担の増加や日中業務とは異なる負担感や勤務態勢であることを踏まえ、夜間支援体制をより適切に評価するため、夜勤職員配置体制加算の単位数を引き上げるところです。職員の加配に対する更なる評価については、支援に必要な人員数等を慎重に検討していく必要があります。

 重度・高齢に対応した類型が新設されるが、既存の共同生活援助についても、重度障害者に対する支援が低下しないよう、基本報酬を引き上げてほしい。
 既存の共同生活援助については、平成27年度報酬改定において区分4以上の基本報酬を引き上げており、その結果、収支差率が高い状況であるため、基本報酬の引き上げは行いませんが、看護職員を常勤配置した場合の加算を新設する等、重度障害者に対する支援の充実を図っています。

 来年度から精神障害者地域移行特別加算が新設されるが、このような改定以前の時期に当該加算の要件を満たした場合も加算の対象として考慮してほしい。
 平成30年度報酬改定は、平成30年4月から適用されるため、それ以前に要件を満たした場合については加算の対象外となります。

 共同生活援助の基本報酬の引き下げは、実情に合っていない。特に、区分1以下の大幅な減額は納得できない。
 共同生活援助にかかる平成30年度報酬改定は、報酬改定検討チームの議論を踏まえ、重度・高齢の利用者への支援の充実等を図るとともに、経営実態を踏まえ、基本報酬の見直しを行っています。

 共同生活援助の精神障害者地域移行特別加算の算定にあたり、精神科病院への入院歴はどのような方法で確認・証明を求めるのか。また、
相談援助や個別支援を行う専門職は、事業所の従事者であることを要するのか。
 精神障害者地域移行特別加算の算定対象者の確認は、支給決定の際に、市町村が行うことを想定しており、診断書等による証明を必須とはしません。また、当該共同生活援助事業所の従業者として社会福祉士等を配置する必要があります。

 精神障害者地域移行特別加算は、社会福祉士、精神保健福祉士又は公認心理師等が支援を行うことになっているが、精神科作業療法は精神障害者の社会復帰に有効であるため、作業療法士も含めるべきである。
 精神障害者地域移行特別加算は、住まいの場であるグループホームにおいて、社会福祉士等が日常生活に関する相談や助言等の支援を行うことを評価する加算であるため、作業療法士等の訓練等を行う職種は要件に含めておりません。

 共同生活援助の強度行動障害者地域移行特別加算は、強度行動障害の有無は誰がどのように判定するのか。
 精神障害者地域移行特別加算の算定対象者の確認は、支給決定の際に、市町村が行うことを想定しております。

 日中サービス支援型共同生活援助について、既存の類型と同様、定員8名以上の場合の大規模住居等減算を適用することを必須にすることが必要と考える。
 日中サービス支援型共同生活援助は、共同生活住居ごとの独立性が確保されている等の場合に、1つの建物に複数の共同生活住居を設け、入居定員の合計を20人以下とすることを認める類型であるため、大規模住居等減算は21人以上の場合に適用することとしています。

 日中サービス支援型共同生活援助について、他類型のグループホームと同様、夜間支援体制加算等の各加算を算定できるようにしてほしい。
 日中サービス支援型共同生活援助は、運営基準や支援内容等を踏まえ、基本報酬や加算を設定しており、既存の共同生活援助と全く同じ加算を算定することはできません。

 日中サービス支援型共同生活援助の新たな加算「夜勤職員加配加算」「看護職員配置加算」の算定要件は事業所単位か、それとも住居単位か。
 夜勤職員加配加算は「住居」、看護職員配置加算は「事業所」を算定要件の単位としています。

8.訓練系サービス

 自立訓練(機能訓練)のリハビリテーション加算の見直しについて、「頸髄損傷による四肢の麻痺等」とあり、対象が頸髄損傷を原因とするものに限るかのように読み取れるが、原因ではなく状態によって対象と認めてほしい。
 リハビリテーション加算の対象者は「頸髄損傷による四肢麻痺その他これに類する状態にある障害者」となるため、疾患等の原因を問わず、四肢麻痺の状態にある者が対象となります。

 自立訓練(生活訓練)の個別計画訓練支援加算について、「・・・社会福祉士や精神保健福祉士等が作成する・・・」とあるが、介護福祉士も含まれるのか。
 個別計画訓練支援加算については、社会福祉士や精神保健福祉士、公認心理師が個別訓練実施計画を作成することを要件とするため、介護福祉士は含まれません。

H30障害報酬パブコメ結果3

4.障害福祉サービス等における横断的事項

○ 食事提供体制加算は実態調査を行った上で再検討するとされているが、障害基礎年金2級の人はこの加算がなくなると、何かあったときに医療費も払えない状態になったり、高齢になってオムツが必要になったときにもお金が無くてオムツも買えない状態になってしまう。食事提供体制加算は止めないでほしい。
○ 健常者も障害者も食事をしなければ生きていけないため、障害の有無に関わらず食費は負担しなければならないものであることから、福祉サービスを利用している時間は障害者というだけで食費が税金で支払われるのは大変不公平だと感じるため、食事提供体制加算の継続に反対である。加算の減額や廃止を検討してほしい。
 食事提供体制加算については、障害福祉サービス等改定検討チームの議論の結果等を踏まえ、今回の改定では継続することとしました。

 送迎加算について、自動車維持費等が減少しているという理由で引き下げる案となっているが、原油やガソリン価格は上昇傾向であり、中山間地域や雪の多い地域では悪路を走行することが多いため燃費も伸びず、むしろコストが増加しているため、むしろ引き上げるべきではないか。また、重度障害者への送迎はそのための体制を整える必要があるため、更に評価してほしい。
 送迎加算については、年ベースでの自動車維持費が減少していることから一定の適正化を図り、その上で、生活介護における送迎については、重度者等を送迎した場合に更に評価を行います。

 一人でも車中支援が必要な利用者いればそのための体制を整えた上で送迎を行う必要があるため、生活介護の送迎加算の重度加算の算定基準の割合を引き下げるか、個別の加算としてほしい。
 重度者等への送迎が一定割合以上である事業所においては、送迎にかかるコスト等が高くなることから、当該場合に対する更なる評価を設けています。

 身体拘束廃止未実施減算について、「記録をしていない場合」とあるが、身体拘束を行っていない場合にも記録をしていく必要があるのか。また、「身体拘束等に係る記録」に関してどのような場合にどのような記載が求められるのか。
 身体拘束廃止未実施減算については、身体拘束を行った場合で記録をしていない場合に減算するものです。また、「身体拘束等に係る記録」とはは、各サービスの指定基準上で記録が求められている、身体拘束の「態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由その他必要な事項」を指します。

 地域別最低賃金の引き上げが行われており、毎年人件費が上昇しているにもかかわらず、今回の改定においては、報酬1単位単価は基本的には上がっていない。このため、「最低賃金の地域区分と報酬1単位単価の地域区分を同一にする」、「報酬1単位単価を最低賃金と同じく引き上げをする」必要がある。
 平成30年度障害福祉サービス等報酬改定においては、前回改定以降の賃金の上昇傾向を踏まえ、基本報酬の単位数を設定しております。

 一部の自治体は今回の改定で級地が下がるが、級地が下がるとサービス提供時間が短い場合、報酬が大幅に減額されてしまうため、報酬をとることを目的に利用者本位の支援ではなく、事業所の都合を優先し、無意味に長時間支援することも起こりうることから、本来の趣旨に逆行するのではないか。
 障害福祉サービス等報酬における地域区分は、今回の報酬改定において、類似制度である介護保険サービスにおける地域区分との均衡を考慮し、介護の地域区分の考え方に合わせ見直しています。
 その上で、上乗せ割合が引き上がる(引き下がる)自治体においては、報酬単価の大幅な変更を緩和する観点から、自治体の意見を聴取した上で、経過措置として、平成32年度末までの間、見直し前の上乗せ割合と見直し後の上乗せ割合の範囲内で自治体が選択した区分を設定できるようにしており、見直し後の地域区分については、それぞれの自治体が地域の実情に応じて設定したものです。

 現在の処遇改善の単価では全く人材は確保できないため、増額してほしい。
 福祉・介護職員処遇改善加算については、これまでも財源を確保しつつ着実に実施しており、平成29年度には臨時に報酬改定を行い、月額平均1万円相当の処遇改善を実施したところです。
 また、今後、平成29年12月8日に閣議決定された「新しい経済政策パッケージ」に基づき、引き続き福祉・介護職員の処遇改善に取り組むこととしております。

5.訪問系サービス

 重度訪問介護に係る病院等に入院中の支援の評価について、入院前後に支給量変更の手続き等ができにくい状態にあることから、在宅時と同じ支給量のまま利用できるよう自治体に周知するとともに、重訪事業所が未だにない自治体も多いことから、地域格差を生じることのないよう、重度訪問介護の利用者に限定せず、重度訪問介護の対象者も対象としてほしい。
 重度訪問介護の利用者が、病院等に入院又は入所して重度訪問介護を利用する場合は、改めて支給決定を行う必要はありません。
 また、今般の制度改正は、最重度の障害がある方が入院される場合に、入院前から重度訪問介を利用している方について、ご本人の状態等を熟知したヘルパーにより、入院中も引き続き重度訪問介護の支援を受けられるようにするものですが、入院前に重度訪問介護を利用していない方については、このような状況にないことから、今回のヘルパー利用の対象としないこととしています。

 重度訪問介護について、入院中の支援内容は幅広く対象としてほしい。
 支援内容については、具体的にどのような支援を行うかについて、個々の利用者の症状等に応じて、病院等で提供される治療等の療養の給付等に影響がないように病院等の職員と十分に調整した上で行うことになります。

 重度障害者の入院時利用については、ヘルパーが利用者の体調の変化等を即座に察知し、医師・看護師へ症状を正確に伝える必要があります。医療連携の必要性の観点からも、重度訪問介護で認められている「見守り支援」について、入院時支援においても報酬評価されるということを、留意事項等で明記・周知してほしい。
 意思疎通支援等を適切に行うために利用者の見守りを行っている時間については、報酬の算定となります。今後通知等においてお示しします。

 病院等に入院中の支援の評価について、対象者が区分6に限定されましたが、他の区分4、5の人にもニーズがある。個別のケースに対応可能な枠組みにしてほしい。
 対象者を区分6の方とすることについては、制度の持続可能性を確保しつつ、真に必要な支援を提供していくため、今回の制度改正においては、最重度の障害のある方に対する支援について最大限配慮したところです。

 入院が決まり、自治体の窓口に行った際、「入院中に重度訪問介護は使えません。」といわれることがないよう、入院中の利用を認めることになった趣旨や経緯を自治体に丁寧に周知してほしい。
 入院中における重度訪問介護の利用について、その運営等に関して通知等でお示しします。

 意思疎通が困難な利用者等への同行支援の評価について、具体的な運用において、「熟練ヘルパー」の要件はどう設定するのか。
 熟練したヘルパーについては、当該利用者の障害特性を理解し、適切な介護が提供できる者であり、かつ、当該利用者へのサービスについて利用者から十分な評価がある重度訪問介護従業者であることを要件とします。

 意思疎通が困難な利用者等への同行支援の評価について、「新規に採用」とは雇用のことではなく、対象利用者の重度訪問介護に新たに従事させることとの理解でよいか。
 今回の改正の対象となるのは、重度訪問介護事業所に新規に雇用された職員であり、新たに従事させた職員ではありません。

 同一建物等に居住する利用者等へのサービス提供に対する評価の適正化について、「同一建物等」の具体的な例示を示してほしい。
 集合住宅の1階部分に事業所がある場合などが考えられます。

 同一建物等への利用者等に提供した場合の減算について、減算を直ちに実施すると現場への負担が増えるため、3年の経過措置を設けてほしい。
 今般の改正では、居宅介護事業所が所在する建物と同一建物等に居住する利用者または同一建物に居住する一定数以上の利用者に対しサービス提供する場合に、移動等の労力が軽減されることから減算を行うことで居宅介護の報酬の適正化を図ったものであるので、経過措置は設けません。

 同行援護、行動援護で重度障害者を支援しているが、基本報酬が低すぎると感じるため、引き上げてほしい。
 既存の同行援護、行動援護については、収支差率が高い状況であるため、基本報酬の引き上げは行いませんが、同行援護において盲ろう者の方や障害支援区分3以上の方に対して支援した場合の加算を新設する等、重度障害者に対する支援の充実を行います。

 重度障害者等包括支援事業について、サービス提供責任者の位置づけを変更される点について、計画相談の相談支援専門員との兼務を認めないということか。
 サービス提供責任者について、今回の改定後において計画相談支援の相談支援専門員との兼務は可能です。

 盲ろう者の中には、同行援護しか利用しておらず障害支援区分が出ていない方や障害支援区分3以上が出ていない方も考えられることから、障害支援区分3の場合の加算に、聴覚障害5級以上も加えてほしい。
 盲ろう者の方の支援は、盲ろう者向け通訳・介助員が盲ろう者の方を支援した場合の加算により評価しており、特に身体介護が困難な方への支援については別途加算を創設したものであるため、障害支援区分3の者を支援した場合の加算の要件に聴覚障害5級以上の方は含まれません。

 精神障害を抱える当事者の生活の幅を狭めることがないよう、今後介護保険サービスの訪問介護と同軸で考えず、あくまで障害福祉分野における居宅介護の実情に沿った検討をしてほしい。
 障害福祉サービスの居宅介護については、障害特性等に配慮した検討を引き続き行っていきます。

H30障害報酬パブコメ結果2

2.共生型サービスについて

 安全性の確保観点から、障害者、障害児、高齢者を同じ集団の中で日常的に支援するべきではないと考えるが、制度上同じ集団内での支援を許容しているのか。
 共生型サービスは、要介護者、障害者及び障害児に対して同じ場所でサービスを提供することを想定しております。なお、適切なサービスの提供及び安全性の確保等の観点から、共生型サービスの対象サービスを、介護保険と障害福祉両方の制度に相互に共通するサービスであり、原則として現行の基準該当サービスとして位置づけられているサービスとしています。

 サービス管理責任者が地域に貢献する活動に従事する場合、常勤専従要件違反にならないか。
 サービス管理責任者が地域に貢献する活動に従事する時間につきましては、専従要件違反にはあたりません。活動内容に応じて常勤時間に含むか否かを判断することになります。

 今回の「共生型サービス」の創設により、障害福祉の日中支援に、多くの介護保険事業者が参入することが予想される。もうけ本位の事業者が参入してこないか不安である。
 共生型障害福祉サービスの報酬につきましては、本来的な障害福祉サービス事業所の基準を満たしていないため、本来報酬単価と区別をして設定しますが、障害者へのサービスの質の確保のため、例えばサービス管理責任者を配置している場合等を加算で評価する予定です。また、共生型サービス事業所については、指定障害福祉サービス事業所で算定可能な加算について、基本的に同様に算定が可能になります。

 共生型サービスについて、65歳を超えた方が共生型介護保険サービス事業所を利用する場合の報酬について、介護認定と障害支援区分の認定基準の違いもあり、現状の報酬を大きく下回ることになる可能性がある。同じサービスを提供して大きな報酬減少になるのであれば積極的に取り組まない方が良いという考え方になってしまいかねない。障害福祉サービスら別途特別な加算があるとサービスの拡大につながると考える。
 指定障害福祉サービス事業所が介護保険法に基づく共生型介護保険サービスを行う場合の報酬については、障害者が65歳に到達して介護保険に切り替わる際に事業所の報酬が大きく減ることは適切ではないことから、概ね障害福祉制度における報酬と同等の水準で単位設定しています。

3.地域生活支援拠点等

 地域生活支援拠点の要件は何か。市町村が自由に認定してよいのか。
 地域生活支援拠点等の整備に当たっては、支援困難な障害者等の受け入れを前提として、原則として5つの機能([1]相談[2]緊急時の受け入れ・対応[3]体験の機会・場[4]専門的人材の確保・養成[5]地域の体制づくり)全てを備えることを基本的な要件としていますが、地域の実情を踏まえ、必要な機能の判断は最終的に市町村が行うこととしています。

 「地域生活支援拠点等相談強化加算」について、短期入所につないだ場合のみ算定とされているが、家族の疾病・虐待ケース等の対応では通常、短期入所だけでなく並行してグループホームにも受入れを打診する場合が殆どであることから、グループホームでの受入れにつないだ場合も対象としてほしい。
 地域生活支援拠点等相談強化加算については、地域生活支援拠点等における相談の機能を強化する観点から、特定相談支援事業所や障害児相談支援事業所コーディネーターの役割を担う相談支援員を配置し、障害者からの相談を受け、当該特定相談支援事業所等と連携する短期入所事業所への緊急時の受入れの対応を行うことを評価するものです。グループホームに併設されている短期入所事業所及びグループホームの空きベッドを利用した空床型の短期入所事業所においても加算の算定が可能です。

 重度障害者支援加算を生活介護に創設するとしているが、そのうち、障害者支援施設が行う生活介護を除くとしたのはなぜか。
 障害者支援施設においては、利用者に対する支援が1日を通じて適切に確保されるよう、施設入所支援サービス費において重度障害者支援加算を既に設けており、施設の重度障害者に対する支援に関する評価はそちらで行っているため、今回生活介護サービス費で創設する重度障害者支援加算においては、障害者支援施設が行う生活介護を対象外としています。

 地域生活支援拠点等における体制強化共同支援加算が新設されたが、これは共同で対応している全ての特定相談支援事業所が受け取れるのか。また特定相談支援へ加算であるものの調整や受入れで実働して頂いた事業所に対しても費用を支払うことができるようにするなど協議会内での柔軟な運用を可能としてほしい。
 加算の対象となる利用者に対して個別支援計画の作成を行った特定相談支援事業所が算定可能であり、共同で対応をした事業所等に分配することも想定しています。

 地域体制強化共同支援加算について、支援の困難度合いによって終結までかかる期間は異なることから期間制限を設けないでほしい。
 当該加算は、一月に1回までの算定という制限はあるものの、利用者一人に関する調整・協議の期間についての制限はございません。

 地域体制強化共同支援加算について、実際に有意義な活動が行われたかどうかをどのように判断していくのか示してほしい。
 支援困難事例等についての課題検討を通じ、地域課題の明確化と解決に向けて、情報共有等を行い、共同で対応していることが有意義であると考えられるため、当該取り組みを算定要件として、協議会に報告することをもって評価することとする予定です。

H30障害報酬パブコメ結果1

「平成30年度障害福祉サービス等報酬改定に伴う関係告示の一部改正について(概要)」に対して寄せられたご意見について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495170344&Mode=2

平成30年3月22日
厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部

 厚生労働省では、「平成30年度障害福祉サービス等報酬改定に伴う関係告示の一部改正等」について、平成30年2月5日から3月6日までご意見を募集したところ、405件のご意見をいただきました。
 お寄せいただいたご意見とそれに対する当省の考え方について、別紙のとおり取りまとめましたので、公表いたします。
 取りまとめの都合上、いただいたご意見は、適宜要約しております。また、パブリックコメントの対象となる事項についてのみ考え方を示させていただきます。
 ご意見をお寄せいただきました皆様に御礼申し上げます。

1.新設サービスについて

 就労定着支援の基本報酬を就労定着率(過去3年間の就労定着支援の総利用者数のうち前年度末時点での就労が継続している者の割合)に応じて評価することとしているが、仕事の長期継続が難しい人こそ、就労定着支援事業の支援を受けるべきであり、算出方法の見直しを求める。
 就労定着支援については、障害のある方の職場への定着及び就労の継続を図るため、企業、医療機関等との連絡調整や就労に伴い生じた生活面等の課題解決に向けて相談・助言等の支援を行う障害福祉サービスとして創設するものです。このため、障害のある方ができる限り長く働き続けられるよう支援することが重要であることから、就労定着率が高い事業所ほど高い基本報酬とします。
 なお、就労定着率を高くするため、利用者を選別することは、サービス提供拒否となるため、指定基準上認められません。

 新規指定の場合における就労着支援の基本報酬の区分である就労定着率はどのように算出するのか。
 新規指定の場合は、新規指定の申請日の前月から過去3年の一般就労者数のうち申請日の前月末で就労が継続している者の割合を就労定着率とします。

 職場適応援助者養成研修修了者配置体制加算は、該当する職員が週に1時間でも勤務していれば加算の対象となるのか。
 勤務時間数にかかわらず、就労定着支援員として従事する者を配置していれば加算対象とします。

 同一法人が運営する他の就労移行支援事業所等の利用後に一般就労した障害者の利用は認められるのか。
 認められます。

 就労定着実績体制加算算出に当たっての母数は、何になるのか。
 当該加算は、過去6年間において指定就労定着支援の利用を終了した者が母数となり、そのうち雇用された通常の事業所に42月以上78月未満の期間継続して就労している者又は就労していた者の占める割合が前年度において100分の70以上として都道府県知事に届け出た指定就労定着支援事業所において、指定就労定着支援を行った場合に、1月につき所定単位数を加算するものです。

 就労定着支援における定着率について、引っ越しによってやむを得ず離職する場合があるため、算定から除外する等してほしい。
 引っ越しによる離職についても、就労定着を図るという事業目的に照らして就労定着ができていないという事実があるため、定着していないものとみなされます。

 就労定着支援についても処遇改善加算を設けてはどうか。
 就労定着支援員は常勤換算方法での配置としており、基本的には一体的に運営する就労移行支援等の事業所に配置される人員が兼務することを想定していることから、処遇改善については一体的に運営する事業所の方で評価するという考え方としています。

 自立生活援助の報酬が不十分ではないか。
 自立生活援助サービス費は、想定される業務内容や業務量等を踏まえ設定したものであり、業務量が集中する利用開始月や同行支援を行った月は加算で評価することとしており、適正な報酬となっています。

 自立生活援助サービス費設定の根拠となる利用者数は何を指しているのか。新規指定の場合はどうなるのか。
 自立生活援助サービス費設定の根拠となる利用者数は「前年度の全利用者の延べ数を当該前年度の開所月数で除して得た数」となります。
 なお、新規指定の場合は、指定申請の際に登録する利用者の推定数の90%となります。

 自立生活援助における福祉専門職員配置等加算の算定にあたり、常勤で他のサービスの従業者を兼務している支援員については従来どおり50%以上の勤務実績で判断するのか。
 福祉専門職員配置等加算に関して、複数事業所を兼務する常勤の直接処遇職員の取扱いは、従来どおり、1週間の勤務時間の2分の1を超えて勤務する事業所において評価することになります。

 自立生活援助サービス費について、退所等の日から1年以上又は1年未満で報酬を決めるのではなく、既に地域で暮らしている方も含め、サービスの利用期間で報酬を決めてほしい。
 自立生活援助サービス費については、障害者支援施設等から移行した直後(退所等の日から1年以内)の関係機関との連絡調整や地域住民との関係づくりに要する業務量を評価しています。また、退所等の日から1年を経過している障害者や地域生活を継続している障害者に対して支援を開始する場合については、業務量が集中することを評価するため、初回加算を設けることとしています。

 自立生活援助の同行支加算については、利用者が居宅から外出した際に支援を行った月に加算となっているが、利用者によっては月に複数回の利用がある場合もあることから、月単位ではなく、回数ごとの加算としてほしい。
 自立生活援助における同行支援については、行き先や支援内容等が、利用者の状況によって大きく異なることから、回数に応じた単位ではなく、月単位の包括的な報酬としています。

 自立生活援助サービス利用が終了した利用者に対して、円滑な地域生活を送る為に関係機関との連絡調整が必要となる場合があるため、サービス終了後に関係機関との連絡調整や相談援助などを行った場合等を評価する加算の創設をお願いしたい。
 自立生活援助の利用が終了した後、自立生活援助事業所による支援を報酬で評価することはできません。なお、地域生活を継続するための支援が必要な者については、地域定着支援を利用することを想定しています。

プロフィール

どるくす

Author:どるくす
FC2ブログへようこそ!

月別アーカイブ

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR